講演情報

[P9-1]子宮癌術後の放射線治療の晩期障害によって, 食餌性イレウスとなり, その後小腸膀胱瘻, 結腸膀胱瘻を来した一例

安藤 有里恵, 松本 貴恵, 薮田 佳帆, 三瓶 康喜, 山本 森太郎, 黒木 直美, 上原 拓明, 菅瀬 隆信, 田中 智章, 後藤 崇, 指宿 一彦, 谷口 正次, 古賀 倫太郎 (古賀総合病院外科)
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【はじめに】放射線治療によって, 局所再発率や根治率があがり悪性腫瘍の生存率に貢献している重要な治療法の一つであるが, 放射線照射によって引き起こされる有害事象には, 治療困難な場合が多い. 放射線による障害には, 照射後半年以内に起こる早期障害と, 数年かけてもたらされる晩期障害に分けられ, 晩期障害では, 特に消化管壁内に微小な循環障害を起こし, 不可逆性に狭窄や穿孔, 瘻孔を形成する重要な有害事象であり, 患者のQOLやperformance statesに大きく関わるため慎重に治療法を計画する必要がある. これらは進行性の病態であるため外科的切除が行われるが, Frozen Pelvisとなり癒着剥離に難渋したり, 腸管大量切除による吸収障害をきたす可能性や, 縫合不全のリスクも高い. 今回我々は, 子宮癌術後の放射線治療の晩期障害によって, 複雑な経過をたどった症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
【症例】79歳女性. 子宮癌術後, 放射線照射の既往あり. 食餌性イレウスに対して他院で経鼻イレウス管で治療され寛解と増悪を繰り返していた. 初回治療から3ヶ月後に手術目的に紹介となり, 小腸部分切除の方針としたが, イレウスを引き起こした小腸は骨盤に硬く癒着し, かつ放射線治療の影響で粘膜は白色に退化していたため小腸横行結腸バイパス術を施行した. 術後13病日でリハビリ転院するも, 術後1ヶ月で糞尿を認め, 精査で小腸膀胱瘻, 直腸膀胱瘻と2箇所の膀胱瘻を認めた. 小開腹にて肛門側の小腸離断と, 双口式横行結腸人工肛門を造設した. 術後合併症なく退院した.