講演情報
[P9-4]ストーマ造設後に発症した劇症型偽膜性腸炎の1例
川島 市郎, 池田 純 (京都民医連中央病院外科)
はじめに
難治性便秘の治療手段として外科的治療がある。当院では、高齢で要介護者の便秘は結腸通過遅延型便秘+排出障害型の混合型の場合が多く、術式はストーマ造設になる。
ストーマ造設は、排泄に伴う苦痛や介護者の負担も軽減され、しかも安全な術式として選択してきた。今回、ストーマ造設後に劇症型偽膜性腸炎を発症し死亡した症例を経験したので
報告する。
症例
50代男性、既往歴に脳出血左半身麻痺がある。統合失調症で長期間入院生活中。便秘に対して内服治療を試みるも効果が期待できず、毎日浣腸し、排泄ケアを要するも年に2~3回
イレウス症状で入院となる。本人も介護者もストーマ造設を希望する。
術前検査(SITZ MARKs study)S状結腸まで通過良好であることを確認。
手術:腹腔鏡下横行結腸双孔式人工肛門造設術施行
術後経過:術後1週間でHOS(High Output Stoma)出現。輸液にて調整するも肺炎、腎不全を発症する。
術後10日目ストーマ脱出するも虚血性変化なし可及的還納の方針となる。下痢粘血便が続くため便培養施行。CD陽性で偽膜性腸炎と診断し、バンコマイシン内服治療を開始する。
徐々に意識レベル低下する。酸素飽和度は維持されるも呼吸数は減少する。 CTにて胸水腹水が貯留。血液検査にて白血球140000と異常高値となり劇症型偽膜性腸炎と診断。メトロニダゾールの点滴治療が開始されるも術後18日目に死亡退院される。
考察
高齢者の難治性便秘はイレウス症状を来すこともあり相対的な手術適応があると考えている。術式は患者のQOL,介護者の負担を配慮し、周術期の安全性を考慮しストーマ造設を選択してきた。本症例では術後肺炎から抗生物質の長期使用を余儀なくされたこと、双孔式ストーマとしたためストーマ肛門側の腸炎に対し、治療が無効であったことが病状悪化に影響したと考える。
結語
難治性便秘の治療法として人工肛門造設がある。対象患者は高齢で脆弱な方が多く
適応、術式、合併症対策には細心の注意を払う必要がある。
難治性便秘の治療手段として外科的治療がある。当院では、高齢で要介護者の便秘は結腸通過遅延型便秘+排出障害型の混合型の場合が多く、術式はストーマ造設になる。
ストーマ造設は、排泄に伴う苦痛や介護者の負担も軽減され、しかも安全な術式として選択してきた。今回、ストーマ造設後に劇症型偽膜性腸炎を発症し死亡した症例を経験したので
報告する。
症例
50代男性、既往歴に脳出血左半身麻痺がある。統合失調症で長期間入院生活中。便秘に対して内服治療を試みるも効果が期待できず、毎日浣腸し、排泄ケアを要するも年に2~3回
イレウス症状で入院となる。本人も介護者もストーマ造設を希望する。
術前検査(SITZ MARKs study)S状結腸まで通過良好であることを確認。
手術:腹腔鏡下横行結腸双孔式人工肛門造設術施行
術後経過:術後1週間でHOS(High Output Stoma)出現。輸液にて調整するも肺炎、腎不全を発症する。
術後10日目ストーマ脱出するも虚血性変化なし可及的還納の方針となる。下痢粘血便が続くため便培養施行。CD陽性で偽膜性腸炎と診断し、バンコマイシン内服治療を開始する。
徐々に意識レベル低下する。酸素飽和度は維持されるも呼吸数は減少する。 CTにて胸水腹水が貯留。血液検査にて白血球140000と異常高値となり劇症型偽膜性腸炎と診断。メトロニダゾールの点滴治療が開始されるも術後18日目に死亡退院される。
考察
高齢者の難治性便秘はイレウス症状を来すこともあり相対的な手術適応があると考えている。術式は患者のQOL,介護者の負担を配慮し、周術期の安全性を考慮しストーマ造設を選択してきた。本症例では術後肺炎から抗生物質の長期使用を余儀なくされたこと、双孔式ストーマとしたためストーマ肛門側の腸炎に対し、治療が無効であったことが病状悪化に影響したと考える。
結語
難治性便秘の治療法として人工肛門造設がある。対象患者は高齢で脆弱な方が多く
適応、術式、合併症対策には細心の注意を払う必要がある。