講演情報
[PD1-3]直腸肛門機能検査の段階的タスクシフトによる便失禁診療における業務効率の改善効果
矢野 雷太, 柴田 浩輔, 白川 賢司, 倉岡 憲正, 小林 弘典, 坂下 𠮷弘, 石田 裕, 宮本 勝也 (国家公務員共済組合連合会広島記念病院外科)
【背景】便失禁診療ガイドライン改訂第2版が発刊されるなど便失禁診療は着実に進化しているが、専門的に診療できる医療機関が増えるためには課題もある。一つに、医師が情熱を注ぐほど診療の質は上がるが時間が長くなり、診療単価が下がるという課題が挙げられる。2021年10月、臨床検査技師(以下「技師」)により実施可能な検査に直腸肛門機能検査が追加された。当院では、同検査が徐々に増えてきており、2024年度にタスクシフトに取り組むこととなった。
【目的】直腸肛門機能検査のタスクシフトについて、段階的に進めた過程と、業務効率の改善効果について報告する。
【方法】技師に対し、事前アンケートを行って不安や疑問の抽出を行った。臨床現場では、①医師が実施し技師が補助、②技師が実施し医師が補助、③医師不在で技師のみで実施、と三段階でタスクシフトを行なった。①の期間には、模型を用いた挿入訓練や勉強会を3回行った。業務効率の評価として、検査件数、診察患者数、検査以外の患者も含めた排便機能外来全体の患者一人当たりの診療時間(外来業務時間/患者数で算出)について、タスクシフト前後で比較した。
【結果】事前アンケートでは、カテーテル挿入手技と検査中のトラブルに関する不安が多く、特にバルーンを用いた直腸感覚検査についての不安が強かった。当面、直腸感覚検査は医師が実施する方針として、直腸肛門内圧測定については三段階でスムーズにタスクシフトできた。タスクシフト前後の各半年間における、検査数は37件vs52件、診察患者数は69人vs120人、患者一人当たりの平均診療時間は63分vs42分であった。
【考察】タスクシフトにより、期待通り業務効率は改善した。事前アンケートで抽出された不安の多くは、肛門への異物挿入の経験がないことに起因していた。段階的に経験を積める環境を整えることで、安心感を持ってタスクシフトが遂行できたと考える。
【結語】便失禁診療の普及のためには、業務効率の改善が必須であり、そのためには関係職種が安心して受容できる形でタスクシフトを推進していく必要がある。
【目的】直腸肛門機能検査のタスクシフトについて、段階的に進めた過程と、業務効率の改善効果について報告する。
【方法】技師に対し、事前アンケートを行って不安や疑問の抽出を行った。臨床現場では、①医師が実施し技師が補助、②技師が実施し医師が補助、③医師不在で技師のみで実施、と三段階でタスクシフトを行なった。①の期間には、模型を用いた挿入訓練や勉強会を3回行った。業務効率の評価として、検査件数、診察患者数、検査以外の患者も含めた排便機能外来全体の患者一人当たりの診療時間(外来業務時間/患者数で算出)について、タスクシフト前後で比較した。
【結果】事前アンケートでは、カテーテル挿入手技と検査中のトラブルに関する不安が多く、特にバルーンを用いた直腸感覚検査についての不安が強かった。当面、直腸感覚検査は医師が実施する方針として、直腸肛門内圧測定については三段階でスムーズにタスクシフトできた。タスクシフト前後の各半年間における、検査数は37件vs52件、診察患者数は69人vs120人、患者一人当たりの平均診療時間は63分vs42分であった。
【考察】タスクシフトにより、期待通り業務効率は改善した。事前アンケートで抽出された不安の多くは、肛門への異物挿入の経験がないことに起因していた。段階的に経験を積める環境を整えることで、安心感を持ってタスクシフトが遂行できたと考える。
【結語】便失禁診療の普及のためには、業務効率の改善が必須であり、そのためには関係職種が安心して受容できる形でタスクシフトを推進していく必要がある。