講演情報
[PD3-3]肛門病変を契機に診断される初期のクローン病についての検討
紅谷 鮎美, 佐井 佳世, 米本 昇平, 酒井 悠, 松島 小百合, 鈴木 佳透, 小菅 経子, 大島 隆一, 松村 奈緒美, 河野 洋一, 宋 江楓, 下島 裕寛, 岡本 康介, 國場 幸均, 宮島 伸宜, 黒水 丈次, 松島 誠 (松島病院)
【はじめに】肛門科で見つかるクローン病(以下CD)は肛門病変が契機になるため、CD特有の症状を伴わない初期段階と思われる場合も多い。2010年2月から2025年2月までに当院で精査を行いCD関連の診断がついた215例について検討した。
【結果】CD確診となったのは127例(60%)、疑診が46例(21%)、CDの診断に至らない非確定例は42例(19%)であった。CD確診127例の性別は男性101例(80%)、女性26例(20%)で、年齢の中央値は22歳(10-70)であった。確診に至った所見がCD診断基準の主要所見A(縦走潰瘍)・B(敷石像)であったのは42例(33%)、C(非乾酪性類上皮細胞肉芽腫、以下EG)と副所見a(消化管の潰瘍・アフタ)またはb(肛門病変)が82例(65%)、副所見a+b+c(胃十二指腸病変)が3例(2%)だった。大腸内視鏡検査に加えて小腸カプセルや上部消化管内視鏡検査を行い診断がついた症例は82例(64%)であった。CD確診例の肛門病変は痔瘻120例(95%)、うち88例(73%)はaggressive ulcerationやskin tagなどCDに特徴的な病変を伴っていたが、21例(18%)はCDを疑う所見を認めなかった。CDの診断となった症例はほぼすべて5‐ASAなどの治療から開始され、アフタの消失や肛門症状の軽快を認めるものも多数みられたが、治療開始後に腸管病変の著明な増悪を認めたものは14例あり、4例は腸管狭窄が出現したため腸切除を要した。また、CD疑診や非確定で痔瘻手術を行い治癒した症例は7例、治癒遷延しCD確診となった症例は6例あった。
【結語】痔瘻症例では明らかなCD所見がなくても大腸内視鏡検査が必須であり、CDが否定しきれない場合は上部消化管の検索も行うべきである。また現在の診断基準においてはEGの検出が重要であり、積極的に生検を行うのがよい。初期段階のCDを見極めることで早期に適切な治療が開始できるよう、さらに症例を振り返り検討を重ねたい。
【結果】CD確診となったのは127例(60%)、疑診が46例(21%)、CDの診断に至らない非確定例は42例(19%)であった。CD確診127例の性別は男性101例(80%)、女性26例(20%)で、年齢の中央値は22歳(10-70)であった。確診に至った所見がCD診断基準の主要所見A(縦走潰瘍)・B(敷石像)であったのは42例(33%)、C(非乾酪性類上皮細胞肉芽腫、以下EG)と副所見a(消化管の潰瘍・アフタ)またはb(肛門病変)が82例(65%)、副所見a+b+c(胃十二指腸病変)が3例(2%)だった。大腸内視鏡検査に加えて小腸カプセルや上部消化管内視鏡検査を行い診断がついた症例は82例(64%)であった。CD確診例の肛門病変は痔瘻120例(95%)、うち88例(73%)はaggressive ulcerationやskin tagなどCDに特徴的な病変を伴っていたが、21例(18%)はCDを疑う所見を認めなかった。CDの診断となった症例はほぼすべて5‐ASAなどの治療から開始され、アフタの消失や肛門症状の軽快を認めるものも多数みられたが、治療開始後に腸管病変の著明な増悪を認めたものは14例あり、4例は腸管狭窄が出現したため腸切除を要した。また、CD疑診や非確定で痔瘻手術を行い治癒した症例は7例、治癒遷延しCD確診となった症例は6例あった。
【結語】痔瘻症例では明らかなCD所見がなくても大腸内視鏡検査が必須であり、CDが否定しきれない場合は上部消化管の検索も行うべきである。また現在の診断基準においてはEGの検出が重要であり、積極的に生検を行うのがよい。初期段階のCDを見極めることで早期に適切な治療が開始できるよう、さらに症例を振り返り検討を重ねたい。