講演情報
[PD4-6]内科治療抵抗性潰瘍性大腸炎における大腸全摘術の治療成績
井原 啓佑1, 髙柳 雅1, 泉 陽光1, 河野 貴博1, 上野 綸1, 根本 鉄太郎1, 蜂谷 裕之1, 菅谷 武史2, 石塚 満1, 中村 隆俊1, 富永 圭一2, 水島 恒和1 (1.獨協医科大学下部消化管外科・一般外科, 2.獨協医科大学消化器内科)
【緒言】潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)は内科的治療が進歩した現状においても,外科治療が必要な症例は多い.重症劇症となった症例への外科的治療については緊急手術が不可避であることが多いが,慢性的な炎症を繰り返す難治例へのQOLの向上を目的とした外科治療の介入については,手術のタイミング,手術方法(分割の有無など)が問題になる.また,長期経過としての術後合併症や回腸嚢炎などについても考慮しなければならない.
【目的】当院における内科治療抵抗性UCへの外科治療成績を解析し,外科治療のタイミング,手術方法,術後合併症や機能障害について明らかにする.
【対象と方法】2009年4月から2023年4月の期間に潰瘍性大腸炎の診断で外科治療を受けた症例のうち,内科治療抵抗を理由に外科的治療を受けた症例を対象とした.患者背景,治療内容(内科的,外科的)や術後合併症(短期,長期)について解析した.
【結果】対象の期間に81例がUCの診断で外科的治療を受けた.内科的治療に抵抗を示し,外科治療を必要とした症例は59例,内訳は難治例が27例,重症劇症が32例であった.難治例の年齢の中央値は40(範囲;21-71)歳,男性15例,女性12例であった.15例で高用量のステロイド(総10000mg以上)が投与されており,23例で2nd line以降の内科治療を必要とした.小野寺式栄養指標(OPNI)で合併症ハイリスクと診断される症例は10例に認めた.緊急手術が7例で行われた.手術方法は3期分割手術が12例に行われていた.術後合併症はClavien-Dindo分類IIIa以上の合併症を8例に認めた.うち最も多い合併症はストマアウトレット症候群(6例)であった.長期経過での合併症では回腸嚢炎が最も多く4例に認めた.これは重症劇症例とほぼ同じ比率(5例)であるが,癌・dysplasiaを理由に手術した群と比較し,有意に多い (p=0.02)結果となっていた.
【結論・考察】内科治療抵抗性UCへの外科的治療は栄養状態が不良であることが多いため,吻合を含めた術式選択は慎重に検討する必要がある.また,術後合併症はストマアウトレットが多いことや,術後長期経過での回腸嚢炎の出現に留意する必要がある.
【目的】当院における内科治療抵抗性UCへの外科治療成績を解析し,外科治療のタイミング,手術方法,術後合併症や機能障害について明らかにする.
【対象と方法】2009年4月から2023年4月の期間に潰瘍性大腸炎の診断で外科治療を受けた症例のうち,内科治療抵抗を理由に外科的治療を受けた症例を対象とした.患者背景,治療内容(内科的,外科的)や術後合併症(短期,長期)について解析した.
【結果】対象の期間に81例がUCの診断で外科的治療を受けた.内科的治療に抵抗を示し,外科治療を必要とした症例は59例,内訳は難治例が27例,重症劇症が32例であった.難治例の年齢の中央値は40(範囲;21-71)歳,男性15例,女性12例であった.15例で高用量のステロイド(総10000mg以上)が投与されており,23例で2nd line以降の内科治療を必要とした.小野寺式栄養指標(OPNI)で合併症ハイリスクと診断される症例は10例に認めた.緊急手術が7例で行われた.手術方法は3期分割手術が12例に行われていた.術後合併症はClavien-Dindo分類IIIa以上の合併症を8例に認めた.うち最も多い合併症はストマアウトレット症候群(6例)であった.長期経過での合併症では回腸嚢炎が最も多く4例に認めた.これは重症劇症例とほぼ同じ比率(5例)であるが,癌・dysplasiaを理由に手術した群と比較し,有意に多い (p=0.02)結果となっていた.
【結論・考察】内科治療抵抗性UCへの外科的治療は栄養状態が不良であることが多いため,吻合を含めた術式選択は慎重に検討する必要がある.また,術後合併症はストマアウトレットが多いことや,術後長期経過での回腸嚢炎の出現に留意する必要がある.