講演情報
[PD5-1]潰瘍性大腸炎における罹病期間に基づくサーベイランス戦略の最適化
杉本 真也1, 榊原 亮哉1, 海江田 祐太1, 清原 裕貴1, 村上 宗一郎1, 吉松 裕介1, 高林 馨2, 岩男 泰3, 三上 洋平1, 金井 隆典1 (1.慶應義塾大学医学部内科学(消化器), 2.慶應義塾大学医学部内視鏡センター, 3.慶應義塾大学予防医療センター)
【目的】潰瘍性大腸炎(UC)では慢性炎症により上皮細胞への障害が蓄積し、炎症関連発癌のリスクが高まる。UC関連腫瘍(UCAN)の発生率は罹病期間の延長とともに高まると認識されている一方で、多くのガイドラインにおいては、発症から8年以上経過した症例を年数にかかわらず一律に取り扱っている。本研究では、罹病期間に基づくサーベイランス間隔の短縮がUCAN検出率に与える影響を検討した。
【方法】2010~2023年に当院で最終的にUC関連のhigh-grade dysplasiaもしくはadenocarcinomaと診断されたUCAN症例を対象とした。UCAN診断より1回前のサーベイランス内視鏡時点に遡って過去起点とし、ASGE、AGA、ECCO、BSGの各ガイドラインの基準に従ったリスク層別化を行い、推奨内視鏡検査日を算出した。さらに、罹病期間に基づくリスクの再層別化を行った。推奨検査日が実際のUCAN検出日の180日以内までであれば検出と定義し、再層別化によるUCAN検出率の差異を検証した。
【成績】UCAN 39例が解析対象となり、罹病期間中央値は21(14–27)年、内視鏡検査間隔の中央値は1.3(1.1–2.2)年であった。UCAN検出率は、ガイドライン毎にASGE 72%、AGA 59%、ECCO 44%、BSG 56%であった。罹病期間が一定年数(15年以上、20年以上、25年以上、30年以上)を経過した場合にリスク群を1段階上げるシミュレーションを行ったところ、各条件でASGEは90%、87%、82%、72%、AGAは85%、82%、74%、64%、ECCOは82%、74%、62%、49%、BSGは82%、79%、72%、62%と上昇した。罹病期間20–25年以上の患者を対象とした再層別化でも検出率に有意差が認められた。
【結論】長期罹患のUC患者において内視鏡検査間隔の短縮はUCANの検出率向上に寄与しうる。一方で、サーベイランス強化の対象者数を考慮すると、罹病期間20–25年以上の患者を対象とすることが、現実的なアプローチである可能性がある。
【方法】2010~2023年に当院で最終的にUC関連のhigh-grade dysplasiaもしくはadenocarcinomaと診断されたUCAN症例を対象とした。UCAN診断より1回前のサーベイランス内視鏡時点に遡って過去起点とし、ASGE、AGA、ECCO、BSGの各ガイドラインの基準に従ったリスク層別化を行い、推奨内視鏡検査日を算出した。さらに、罹病期間に基づくリスクの再層別化を行った。推奨検査日が実際のUCAN検出日の180日以内までであれば検出と定義し、再層別化によるUCAN検出率の差異を検証した。
【成績】UCAN 39例が解析対象となり、罹病期間中央値は21(14–27)年、内視鏡検査間隔の中央値は1.3(1.1–2.2)年であった。UCAN検出率は、ガイドライン毎にASGE 72%、AGA 59%、ECCO 44%、BSG 56%であった。罹病期間が一定年数(15年以上、20年以上、25年以上、30年以上)を経過した場合にリスク群を1段階上げるシミュレーションを行ったところ、各条件でASGEは90%、87%、82%、72%、AGAは85%、82%、74%、64%、ECCOは82%、74%、62%、49%、BSGは82%、79%、72%、62%と上昇した。罹病期間20–25年以上の患者を対象とした再層別化でも検出率に有意差が認められた。
【結論】長期罹患のUC患者において内視鏡検査間隔の短縮はUCANの検出率向上に寄与しうる。一方で、サーベイランス強化の対象者数を考慮すると、罹病期間20–25年以上の患者を対象とすることが、現実的なアプローチである可能性がある。