講演情報
[PD5-6]クローン病関連消化管腫瘍(結腸, 小腸, 瘻孔部，空置腸管)の臨床的検討
黒木 博介1, 辰巳 健志1, 後藤 晃紀1, 小原 尚1, 中尾 詠一1, 齋藤 紗由美1, 荒井 勝彦1, 木村 英明2, 杉田 昭1, 小金井 一隆1 (1.横浜市立市民病院炎症性腸疾患科, 2.横浜市大市民総合医療センター炎症性腸疾患センター)
【背景】クローン病(CD) 関連消化管腫瘍の内, 結腸, 小腸, 瘻孔部, 空置腸管の腫瘍の報告は限られており, 腸管・肛門狭窄で内視鏡検査が困難なため, 進行癌で診断されることが少なくない.
【目的】CD関連で結腸, 小腸, 瘻孔, 空置腸管に発生した腫瘍の臨床的特徴, 問題点を明らかにする.
【対象と方法】対象のCD関連腫瘍は結腸14例, 小腸5例, 瘻孔6例, 空置腸管17例であった. 空置腸管腫瘍は人工肛門造設後1年以上経過した症例と定義した。結腸, 小腸, 瘻孔, 空置腸管腫瘍の順に男女比は9:5, 3:2, 4:2, 9:8, 病悩期間は21, 17, 28, 25年であった. これらの部位, 診断困難性, 切除断端陽性率, 組織型, 予後について検討した.
【結果】①結腸腫瘍の部位は上行結腸5例, 横行結腸3例, 下行結腸3例, S状結腸3例で, 術前診断は6例(43%), 組織型はmuc5例, sig1例, por2例, well5例, LGD1例, StageIVは6例(43%, 腹膜播種:3例, 肝2例, 骨1例), 切除断端陽性3例(21%), 3年生存率は47％であった.②小腸腫瘍の部位は全例回腸で, 術前診断は2例(40%),組織型はmuc1例, por2例, mod1例, well1例, StageIV症例は1例(20%, 腹膜播種), 切除断端陽性は1例(20%), 3年生存率は50％であった.③瘻孔癌の部位は内瘻1例, 外瘻2例, 遺残瘻孔2例, 内外瘻1例で, 術前診断は2例(33%)で、組織型はSCC2例, muc2例, well2例, StegaⅣ症例は1例(17%, 傍大動脈リンパ節), 切除断端陽性は4例(67％), 3年生存率は66%であった. ④空置腸管で狭窄のため内視鏡が困難であった症例は13例(76％)であった。腫瘍の部位は直腸肛門12例, 痔瘻4例, 横行結腸1例であり, 術前診断は13例(76％, 2例は非切除)で, 組織型はmuc7例, sig1例, por1例, mod3例, well4例, HGD1例, StageⅣは7例(50％、腹膜播種3例, 肺転移3例, 肝転移1例), 切除断端陽性は5例(29%)、3年生存率は32%であった.
【結語】クローン病に合併した結腸, 小腸,瘻管, 空置腸管癌症例はいずれも術前診断困難例が多く, 特殊組織型, StageIV, 断端陽性例が多く, 予後不良である. 長期経過例は癌発生のリスクを常に念頭におき, 定期的な画像診断, 組織診断を行うことが重要である.
【目的】CD関連で結腸, 小腸, 瘻孔, 空置腸管に発生した腫瘍の臨床的特徴, 問題点を明らかにする.
【対象と方法】対象のCD関連腫瘍は結腸14例, 小腸5例, 瘻孔6例, 空置腸管17例であった. 空置腸管腫瘍は人工肛門造設後1年以上経過した症例と定義した。結腸, 小腸, 瘻孔, 空置腸管腫瘍の順に男女比は9:5, 3:2, 4:2, 9:8, 病悩期間は21, 17, 28, 25年であった. これらの部位, 診断困難性, 切除断端陽性率, 組織型, 予後について検討した.
【結果】①結腸腫瘍の部位は上行結腸5例, 横行結腸3例, 下行結腸3例, S状結腸3例で, 術前診断は6例(43%), 組織型はmuc5例, sig1例, por2例, well5例, LGD1例, StageIVは6例(43%, 腹膜播種:3例, 肝2例, 骨1例), 切除断端陽性3例(21%), 3年生存率は47％であった.②小腸腫瘍の部位は全例回腸で, 術前診断は2例(40%),組織型はmuc1例, por2例, mod1例, well1例, StageIV症例は1例(20%, 腹膜播種), 切除断端陽性は1例(20%), 3年生存率は50％であった.③瘻孔癌の部位は内瘻1例, 外瘻2例, 遺残瘻孔2例, 内外瘻1例で, 術前診断は2例(33%)で、組織型はSCC2例, muc2例, well2例, StegaⅣ症例は1例(17%, 傍大動脈リンパ節), 切除断端陽性は4例(67％), 3年生存率は66%であった. ④空置腸管で狭窄のため内視鏡が困難であった症例は13例(76％)であった。腫瘍の部位は直腸肛門12例, 痔瘻4例, 横行結腸1例であり, 術前診断は13例(76％, 2例は非切除)で, 組織型はmuc7例, sig1例, por1例, mod3例, well4例, HGD1例, StageⅣは7例(50％、腹膜播種3例, 肺転移3例, 肝転移1例), 切除断端陽性は5例(29%)、3年生存率は32%であった.
【結語】クローン病に合併した結腸, 小腸,瘻管, 空置腸管癌症例はいずれも術前診断困難例が多く, 特殊組織型, StageIV, 断端陽性例が多く, 予後不良である. 長期経過例は癌発生のリスクを常に念頭におき, 定期的な画像診断, 組織診断を行うことが重要である.