講演情報

[PD5-8]当院における高齢者クローン病関連消化管癌の特徴

米澤 麻利亜1, 高鹿 美姫1, 伊藤 亜由美1, 谷 公孝2, 二木 了2, 小川 真平2, 中村 真一1, 山口 茂樹2, 中井 陽介1 (1.東京女子医科大学消化器内科, 2.東京女子医科大学消化器・一般外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【目的】高齢化社会に伴い,今後高齢者クローン病(CD)関連消化管癌に遭遇する機会も増えてくると思われる.今回,当科で経験した高齢者CD関連消化管癌の特徴を検討した.【方法】当院において2007年1月から2025年4月の間にCD関連消化管癌と診断された14例を対象とした.症例の内訳は男性9例/女性5例,平均CD発症年齢28.8±8.9歳,平均癌診断年齢54.9±8.2歳,平均罹病期間26.5±11.5年.癌部位は回腸3例/盲腸2例/横行結腸1例/直腸肛門管6例/痔瘻2例.病理組織は高分化腺癌3例/中分化腺癌2例/粘液癌8例/扁平上皮癌1例で,進行度はStage0 2例/StageI 2例/StageII 2例/StageIII 6例/StageIV 2例.治療は手術11例/内視鏡治療1例/化学療法1例/化学放射線療法1例.60歳以上の高齢者群5例と59歳以下の非高齢者群9例に群別化し,臨床病理学的特徴や予後などを比較検討した.【成績】臨床像は,高齢者群は罹病期間が有意に長かった(高齢者群34.4±9.8年/非高齢者群22.2年±10.3年,p=0.0310).CD発症年齢および癌部位に有意差は認めなかった.病理組織像は,高齢者群は粘液癌が有意に多かった(高齢者群100%/非高齢者群33.3%,p=0.0245). Surveillance colonoscopy(SC)施行率および進行度に有意差は認めなかった.術後再発率は高齢者群60%/非高齢者群71.4%で有意差は認めなかったが,術後再発までの期間は高齢者群が有意に短かった(高齢者群120.7±8.0日/非高齢者群525.4±423.5日,p=0.0369). 5年生存率に有意差は認めなかったが,高齢者群はやや低い傾向にあった(高齢者群37.5%/非高齢者群50%).癌治療に有意差は認めず,多くの症例に手術が施行されていた.併存疾患は高齢者群の80%に認めた.癌治療に伴う併発症に有意差は認めなかった.【結論】当科の検討では,高齢者CD関連消化管癌は粘液癌が多く,全例が術後1年以内に再発した.高齢者は併存疾患も多く,術後も厳重な経過観察が必要であると思われた.