講演情報

[PD6-1]下部進行直腸癌の対する側方郭清の意義について

須藤 剛, 中島 伸, 本庄 美奈子, 望月 秀太郎, 佐藤 圭佑, 深瀬 正彦, 飯澤 肇 (山形県立中央病院外科)
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目的:JCOG0212の結果より側方リンパ節郭清が標準治療とされているが、現在の治療ガイドラインでは側方リンパ節の腫大の有無で推奨度に差を認めている。転移陽性例の予後は良好とは言えず、集学的治療の必要性も考えられている。当科ではT2以深の下部直腸癌に対し、側方リンパ節郭清を試行してきた。側方郭清を施行する立場から側方郭清の郭清効果と転移形式別による局所再発率・予後、治療方針について検討。
対象:2000~2019年に側方リンパ節郭清を施行した、根治度A,B進行直腸癌手術症例381例(Rab 126、Rb 255)
結果:側方リンパ節郭清施行例の5年生存率70.2%、転移陽性例60.2%。側方リンパ節転移陽性例は64例(16.8%)。各リンパ節の転移頻度は#263P 3.3%、#263D 8.8%、#273 1.7%、#283 10.4%、#251-T 23.9%、#252 8.1%、#253 1.6%と#263D、#283の頻度は高い。各側方リンパ側転移頻度×5生率/100=郭清効果INDEXとし、#263D 5.8、#263P 1.2、#273 0.5、#283 7.1、#251-T 19.2、#252 3.3、#253 0.3と#263Dと#283は郭清効果を認めた。#263D,283リンパ節の組織学的形態を検討しA:リンパ節辺縁の部分転移、B :AとCの間、C:節外浸潤例としA~Cの5生率#263D93.6%、50%、12.5%、#283は100%、79.8%、24.9%と優位差有り。局所再発は#263DのA0%、B14.2%、C25%、#283のA0%、B7.1%、C25%。内腸骨血管合併切除例は#263DのB8.5%、C25%、#283のB5%、C21.4%と施行例では減少。遠隔再発#263DA8.3%、B28.5%、C75.0%、#283A 16.7%、B27.8%、C80%とCはsystemic diseaseと考えられた。CT上Bは辺縁明瞭で造影効果を認め、Cはリンパ節周囲に毛羽立ち様の所見を認めた。術後補助化学療法オキサリプラチン含む療法と経口薬の5生率は76.2%と50.2%で予後の向上あり。結語:#263D、283には郭清効果を認めることから、転移形態Aは3mm程度のリンパ節に転移を認める症例あることから側方郭清を施行するとともに術後補助化学療法が必要である。リンパ節転移形式のB症例は内腸骨血管合併とともに術前後の多剤併用化学療法、リンパ節転移形式C症例は局所再発や遠隔転移が多く多剤併用放射線化学療法(TNT)などの必要性が考えられた。