講演情報
[PD6-3]直腸癌に対する側方郭清省略の妥当性
小澤 真由美1, 諏訪 雄亮1, 紫葉 裕介1, 工藤 孝迪1, 舩津屋 拓人2, 田中 宗伸2, 酒井 淳2, 大矢 浩貴2, 前橋 学1, 藤原 淑恵2, 森 康一1, 沼田 正勝1, 諏訪 宏和3, 渡邊 純4, 遠藤 格1 (1.横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 2.横浜市立大学消化器・腫瘍外科学, 3.横須賀共済病院外科, 4.関西医科大学下部消化管外科学講座)
【背景】JCOG0212では術前側方リンパ節転移陰性の進行下部直腸癌に対する側方リンパ節郭清による局所制御効果は示されたが予後延長の効果は認められなかった.当教室では側方郭清の適応を「腫瘍下縁が腹膜翻転部よりも肛門側にあり,壁深達度がT3以深である直腸癌」としてきたが,2019年より術前MRI検査にて明らかな側方リンパ節腫大を認めない症例については側方郭清を省略する治療方針に変更した.
【目的】下部直腸癌における側方郭清省略例の治療成績を側方郭清施行例と比較し,その妥当性について検討する.
【方法】2009年1月から2021年12月までに関連2病院で術前側方リンパ節転移陰性,cStage II/III直腸癌181例について側方郭清非施行群(nonLLND群)92例と側方郭清施行群(LLND群)89例について, 治療成績を後方視的に比較検討した.
【結果】nonLLND, LLNDの順に,年齢中央値は69歳 vs. 65歳(p=0.007)と差はなく, 前治療 (NAC, CRT, TNT)は27例(29.4%) vs. 45例(50.6%)と有意差を認めた(p=0.004).手術時間は271分 vs. 376分とLLND群で長く(p<0.001), 出血量は65ml vs.110mlであった(p<0.001).Clavien-Dindo分類GradeII以上の術後合併症は37例(40.2%) vs. 38例(42.7%)と有意差なく(p=0.760),排尿障害は7例(7.6%) vs. 13例(14.6%)で差は認めなかった(p=0.159).(y)pStage 0/ I/II/ IIIの順にnonLLND群: 0/27/32/33例,LLND群: 2/20/28/ 39例(p=0.310)であり,LLND群のうち5例(5.6%)に側方リンパ節転移陽性を認めた.Stage II/IIIの補助化学療法施行率はnonLLND群16%、LLND群59.6%とLLND群で多かった(p<0.002)。3年DFS,OSは70.6% vs. 76.6%(p=0.205), 91.9% vs. 94.2%(p=0.560), 3年局所再発率は5.1% vs. 5.4%と差を認めなかった(p=0.995). 側方リンパ節単独再発はnonLLND群2例に認め,いずれもSalvage手術が可能であった.
【結語】側方郭清については腫大を認めなければ郭清の有無で予後に差はなく,当院の治療方針は許容されると考えられた.
【目的】下部直腸癌における側方郭清省略例の治療成績を側方郭清施行例と比較し,その妥当性について検討する.
【方法】2009年1月から2021年12月までに関連2病院で術前側方リンパ節転移陰性,cStage II/III直腸癌181例について側方郭清非施行群(nonLLND群)92例と側方郭清施行群(LLND群)89例について, 治療成績を後方視的に比較検討した.
【結果】nonLLND, LLNDの順に,年齢中央値は69歳 vs. 65歳(p=0.007)と差はなく, 前治療 (NAC, CRT, TNT)は27例(29.4%) vs. 45例(50.6%)と有意差を認めた(p=0.004).手術時間は271分 vs. 376分とLLND群で長く(p<0.001), 出血量は65ml vs.110mlであった(p<0.001).Clavien-Dindo分類GradeII以上の術後合併症は37例(40.2%) vs. 38例(42.7%)と有意差なく(p=0.760),排尿障害は7例(7.6%) vs. 13例(14.6%)で差は認めなかった(p=0.159).(y)pStage 0/ I/II/ IIIの順にnonLLND群: 0/27/32/33例,LLND群: 2/20/28/ 39例(p=0.310)であり,LLND群のうち5例(5.6%)に側方リンパ節転移陽性を認めた.Stage II/IIIの補助化学療法施行率はnonLLND群16%、LLND群59.6%とLLND群で多かった(p<0.002)。3年DFS,OSは70.6% vs. 76.6%(p=0.205), 91.9% vs. 94.2%(p=0.560), 3年局所再発率は5.1% vs. 5.4%と差を認めなかった(p=0.995). 側方リンパ節単独再発はnonLLND群2例に認め,いずれもSalvage手術が可能であった.
【結語】側方郭清については腫大を認めなければ郭清の有無で予後に差はなく,当院の治療方針は許容されると考えられた.