講演情報
[PD6-6]術前化学放射線療法後の直腸癌における側方リンパ節転移:リンパ節径とPET-CT検査の有用性に関する検討
佐々木 和人, 横山 雄一郎, 江本 成伸, 野澤 宏彰, 室野 浩司, 永井 雄三, 原田 有三, 品川 貴秀, 舘川 裕一, 岡田 聡, 白鳥 広志, 石原 聡一郎 (東京大学腫瘍外科)
背景:近年、局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法 (CRT)やtotal neoadjuvant therapyは米国では標準治療とされ本邦でも導入する施設が増えている。当科では下部進行直腸癌に対する術前CRTを2003年より導入し、治療前長径8mm以上の側方リンパ節(LLN腫大)を対象とした選択的側方郭清を行っている。側方郭清による排尿・性機能の低下に関する報告もありLLN転移診断の向上が求められている。本検討では、治療前LLN径やLLN腫大症例におけるFDG集積のLLN転移診断能を明らかにすることを目的とした。
対象・方法:2010年1月から2023年12月に術前CRT後に外科的切除を施行したcStage II-IVの下部直腸癌 323例を対象とした。検討1: 後方視的にCTでの治療前後LLN最大長径を計測し、LLN転移診断能を解析した。検討2: 治療前LLN腫大を有しPET-CT検査(PET)が施行された93例を対象とし、PETのLLN転移診断能について検討した。
結果1: 323例中の71例(22%)に側方郭清が行われLLN転移は32例(10%)、側方未施行症例で2例にLLN再発(0.8%)を認めた。これら34例(10.8%)をLLN転移群とした。CRT施行前の長径最大値とLLN転移診断における感度/特異度では、cut-off値をCRT前5mm、8mm、10mmとして各々 100%/38.7%、97.1%/77.5%、82.4%/90.0%、CRT後5mm、8mm、10mmとして各々 91.2%/68.2%、85.3%/94.8%、67.6%/96.9%であり、cut-off値CRT前8mmにおいて感度・特異度ともに良好であった。
結果2: LLN腫大のFDG集積は、CRT前 45%(42/93)、CRT後 25%(22/88)に認めた。LLN転移診断における感度/ 特異度/ 陽性的中率/ 陰性的中率は、CRT前 84%/ 74%/ 62%/ 90%、CRT後 55%/ 90%/ 73%/ 80%であった。
結語:術前CRT後の下部直腸癌において、治療前LLN径8mm以上に対する側方郭清は適切な選択基準であった。LLN腫大の症例において治療前PETの陰性的中率は90%であり、側方郭清の省略を検討するうえで重要な因子になりうると考えられた。
対象・方法:2010年1月から2023年12月に術前CRT後に外科的切除を施行したcStage II-IVの下部直腸癌 323例を対象とした。検討1: 後方視的にCTでの治療前後LLN最大長径を計測し、LLN転移診断能を解析した。検討2: 治療前LLN腫大を有しPET-CT検査(PET)が施行された93例を対象とし、PETのLLN転移診断能について検討した。
結果1: 323例中の71例(22%)に側方郭清が行われLLN転移は32例(10%)、側方未施行症例で2例にLLN再発(0.8%)を認めた。これら34例(10.8%)をLLN転移群とした。CRT施行前の長径最大値とLLN転移診断における感度/特異度では、cut-off値をCRT前5mm、8mm、10mmとして各々 100%/38.7%、97.1%/77.5%、82.4%/90.0%、CRT後5mm、8mm、10mmとして各々 91.2%/68.2%、85.3%/94.8%、67.6%/96.9%であり、cut-off値CRT前8mmにおいて感度・特異度ともに良好であった。
結果2: LLN腫大のFDG集積は、CRT前 45%(42/93)、CRT後 25%(22/88)に認めた。LLN転移診断における感度/ 特異度/ 陽性的中率/ 陰性的中率は、CRT前 84%/ 74%/ 62%/ 90%、CRT後 55%/ 90%/ 73%/ 80%であった。
結語:術前CRT後の下部直腸癌において、治療前LLN径8mm以上に対する側方郭清は適切な選択基準であった。LLN腫大の症例において治療前PETの陰性的中率は90%であり、側方郭清の省略を検討するうえで重要な因子になりうると考えられた。