講演情報
[PD7-3]大腸癌肝転移R0切除後の早期・超早期再発予測因子の検討
木内 純, 有田 智洋, 清水 浩紀, 名西 健二, 池下 千彬, 井上 博之, 高畠 和也, 西別府 敬士, 今村 泰輔, 小菅 敏幸, 山本 有祐, 小西 博貴, 森村 玲, 藤原 斉, 塩﨑 敦 (京都府立医科大学消化器外科)
【はじめに】切除可能な大腸癌肝転移には外科的切除が推奨されている。一方で肝切除後の再発は高頻度で、肝切除後ただちに再発する症例もしばしば経験することから、肝切除の腫瘍学的に適切なタイミングを判断するにあたって悩まされることも多い。今回我々は、肝切除の適切なタイミングを判断するために、肝切除後早期・超早期再発に関連する因子について検討した。
【対象と方法】1996年から2023年までに当院で大腸癌肝転移に対してR0切除を施行した140例を後方視的に解析した。5年、6カ月(早期)および4カ月(超早期)の無再発生存(RFS)における再発予測因子について解析した。
【結果】
1)初回肝切除後の残肝再発は、9.7%が肝切後4カ月以内、36.5%が肝切後4~6カ月で認められた。2年を超えて残肝再発を来した症例も15.4%認めたが、5年以降の再発は認めなかった。
2)5年RFSに関連する因子は原発直腸、領域リンパ節転移4個以上、低分化および未分化癌、RAS変異型、複数の肝転移、5cm以上の肝転移、肝外転移あり、2回目以降の肝切除であり、領域リンパ節転移4個以上、5cm以上の肝転移、肝外転移ありはそれぞれ独立した再発予測因子であった。
3)早期再発に関連する因子は静脈侵襲高度陽性、同時性肝転移、5cm以上の肝転移、肝外転移あり、2回目以降の肝切除であり、静脈侵襲高度陽性、5cm以上の肝転移は独立した再発予測因子であった。
4)超早期再発に関連する因子は5cm以上の肝転移、肝切除前CAE高値および肝切除前CA19-9高値であった。5cm以上の肝転移は独立した再発予測因子であった。
5)肝切除回数別にRFSを比較すると、2回目以降の肝切除後の予後は、1回目の肝切除後の予後と比較して有意に不良であった。
【結語】5cm以上の肝転移症例、高度静脈侵襲陽性症例は肝切除後早期再発の予測因子であり、特に5cm以上の肝転移症例は超早期再発の予測因子である。また2回目以降の肝切除では、肝切除後の再発率が比較的高くなる。これら因子に該当する症例では肝切除のタイミングについて慎重な検討が必要である。
【対象と方法】1996年から2023年までに当院で大腸癌肝転移に対してR0切除を施行した140例を後方視的に解析した。5年、6カ月(早期)および4カ月(超早期)の無再発生存(RFS)における再発予測因子について解析した。
【結果】
1)初回肝切除後の残肝再発は、9.7%が肝切後4カ月以内、36.5%が肝切後4~6カ月で認められた。2年を超えて残肝再発を来した症例も15.4%認めたが、5年以降の再発は認めなかった。
2)5年RFSに関連する因子は原発直腸、領域リンパ節転移4個以上、低分化および未分化癌、RAS変異型、複数の肝転移、5cm以上の肝転移、肝外転移あり、2回目以降の肝切除であり、領域リンパ節転移4個以上、5cm以上の肝転移、肝外転移ありはそれぞれ独立した再発予測因子であった。
3)早期再発に関連する因子は静脈侵襲高度陽性、同時性肝転移、5cm以上の肝転移、肝外転移あり、2回目以降の肝切除であり、静脈侵襲高度陽性、5cm以上の肝転移は独立した再発予測因子であった。
4)超早期再発に関連する因子は5cm以上の肝転移、肝切除前CAE高値および肝切除前CA19-9高値であった。5cm以上の肝転移は独立した再発予測因子であった。
5)肝切除回数別にRFSを比較すると、2回目以降の肝切除後の予後は、1回目の肝切除後の予後と比較して有意に不良であった。
【結語】5cm以上の肝転移症例、高度静脈侵襲陽性症例は肝切除後早期再発の予測因子であり、特に5cm以上の肝転移症例は超早期再発の予測因子である。また2回目以降の肝切除では、肝切除後の再発率が比較的高くなる。これら因子に該当する症例では肝切除のタイミングについて慎重な検討が必要である。