講演情報
[PD7-4]大腸癌肺転移切除症例における予後因子の後方視的検討
福島 元太郎, 水谷 久紀, 筋野 博喜, 久保山 侑, 田子 友哉, 笠原 健大, 真崎 純一, 岩崎 謙一, 古賀 寛之, 金沢 景繁, 永川 裕一 (東京医科大学消化器・小児外科学分野)
【緒言】大腸癌肺転移に対する R0 切除は生命予後を延長し得るものの,その適応基準はいまだ確立されていない。適切な症例選択には腫瘍制御の可能性を評価し,予後因子を把握することが重要である。今回,従来報告されている原発巣・転移巣因子に加え肺転移巣の経時的変化が予後に及ぼす影響を検討した。
【方法】2004 年 1 月から 2024 年 1 月までに当院で大腸癌肺転移に対して R0 切除を受けた 90 例を対象とし,臨床病理学的因子と全生存期間(OS)および無再発生存期間(RFS)について後方視的に解析した。
【結果】平均年齢は 67.6 歳,男性 52 例・女性 38 例であり,原発部位は結腸 41 例,直腸 49 例。同時性肺転移 15 例(15.9%),異時性肺転移 75 例(84.1%)。両側肺転移は 12 例(13.3%),病変数 2 以上は 13 例(14.4%)であった。肺転移診断時の最大腫瘍径中央値は 10 mm,肺切除時は 15 mm,診断から切除までの期間中央値は 3.5 か月であり,腫瘍増大率中央値は 4.8%/月であった。全生存期間中央値は 82.5 か月(95%CI 51.2–117.7)で,肺切除後の補助化学療法施行率は 40.9% であった。また,肺切除後の 5 年 OS は 57.1% であった。単変量解析では診断から切除までの腫瘍増大率が高い群で OS が有意に短縮し(p=0.035),多変量解析でも同指標が RFS の独立予後因子であった(HR 1.70,95%CI 1.17–2.02,p=0.03)。
【結語】大腸癌肺転移切除後の予後因子として,肺転移巣経の変化が関与していた。手術適応判断において,経時的な画像評価を取り入れることが適切な治療戦略の決定に寄与する可能性がある。
【方法】2004 年 1 月から 2024 年 1 月までに当院で大腸癌肺転移に対して R0 切除を受けた 90 例を対象とし,臨床病理学的因子と全生存期間(OS)および無再発生存期間(RFS)について後方視的に解析した。
【結果】平均年齢は 67.6 歳,男性 52 例・女性 38 例であり,原発部位は結腸 41 例,直腸 49 例。同時性肺転移 15 例(15.9%),異時性肺転移 75 例(84.1%)。両側肺転移は 12 例(13.3%),病変数 2 以上は 13 例(14.4%)であった。肺転移診断時の最大腫瘍径中央値は 10 mm,肺切除時は 15 mm,診断から切除までの期間中央値は 3.5 か月であり,腫瘍増大率中央値は 4.8%/月であった。全生存期間中央値は 82.5 か月(95%CI 51.2–117.7)で,肺切除後の補助化学療法施行率は 40.9% であった。また,肺切除後の 5 年 OS は 57.1% であった。単変量解析では診断から切除までの腫瘍増大率が高い群で OS が有意に短縮し(p=0.035),多変量解析でも同指標が RFS の独立予後因子であった(HR 1.70,95%CI 1.17–2.02,p=0.03)。
【結語】大腸癌肺転移切除後の予後因子として,肺転移巣経の変化が関与していた。手術適応判断において,経時的な画像評価を取り入れることが適切な治療戦略の決定に寄与する可能性がある。