講演情報
[PD7-7]切除不能進行再発大腸癌に対する多施設共同ランダム化第III相試験 C-cubed studyの全生存期間の更新と予後因子の検討
永坂 岳司1, 岡脇 誠1, 下川 元継12, 稲田 涼7, 尾嶋 仁4, 谷岡 洋亮1, 能浦 真吾2, 進藤 吉明6, 濱田 円3, 宗本 義則9, 石橋 敬一郎11, 岡島 正純10, 山口 佳之1, 山田 岳史5, 島田 安博8 (1.川崎医科大学附属病院臨床腫瘍科, 2.堺市立総合医療センター消化器外科, 3.関西医科大学附属香里病院, 4.群馬県立がんセンター, 5.日本医科大学消化器外科, 6.中通総合病院消化器外科, 7.高知医療センター外科, 8.高知医療センター腫瘍内科, 9.福井県済生会病院外科, 10.広島市民病院外科, 11.埼玉医科大学総合医療センター消化管外科・一般外科, 12.山口大学大学院医学系研究科医学統計学分野)
【背景】C-cubed試験は、未治療の切除不能進行・再発大腸癌(mCRC)に対し、フルオロピリミジン+ベバシズマブ(FP+BEV)を先行投与し、病勢進行時にオキサリプラチン(OX)を追加する逐次治療(Arm A)と、初回からFP+OX+BEVを併用する併用治療(Arm B)の有効性を比較した、多施設共同の第Ⅲ相ランダム化比較試験である。本研究では、長期追跡に基づく全生存期間(OS)の更新解析とともに、治療開始前に把握可能な臨床的および分子学的因子の予後的意義を検討した。
【方法】mCRC患者300例はArm AまたはArm Bに1:1の比率で無作為に割り付けられた。サブグループ解析は、年齢(<70歳 vs. ≥70歳)、腫瘍側性(右側 vs. 左側)、RAS/BRAF V600E変異の有無に基づいて実施した。OSはKaplan–Meier法およびCox比例ハザードモデルで解析し、多変量解析では、すべて治療開始前に把握可能な変数(年齢、性別、パフォーマンスステータス、腫瘍側性、転移臓器数、原発巣の残存、RAS/BRAF変異、同時性/異時性、フルオロピリミジンの種類)を評価した。
【結果】OS中央値はArm Aで27.2ヶ月、Arm Bで27.4ヶ月と両群間でほぼ同等であり、治療戦略による有意な差は認められなかった(HR=1.0、P=0.98)。一方、多変量解析の結果、BRAF V600E変異は最も強い不良予後因子であり(HR=6.16、P<0.0001)、RAS変異(HR=1.84、P=0.0005)、PS 1(HR=2.01、P=0.0009)、転移臓器数が2つ以上(HR=1.74、P=0.0005)、年齢70歳以上(HR=1.41、P=0.0336)、および男性(HR=1.44、P=0.0266)も有意に予後不良と関連していた。さらに、右側原発腫瘍は統計的有意には至らなかったものの、不良な生存傾向を示した(HR=1.38、P=0.0573)。
【結論】治療戦略によるOSの差は認められなかったが、治療前に評価可能な臨床的および分子学的因子がmCRCの予後に強く関与することが示された。特にBRAFおよびRAS変異、PS、転移臓器数、年齢、性別といった情報は、初期治療方針の決定や、手術先行の可否を判断するうえでも重要である。今後は、このような治療前情報を活用し、個別化治療戦略を構築することの重要性が一層高まると考えられる。
【方法】mCRC患者300例はArm AまたはArm Bに1:1の比率で無作為に割り付けられた。サブグループ解析は、年齢(<70歳 vs. ≥70歳)、腫瘍側性(右側 vs. 左側)、RAS/BRAF V600E変異の有無に基づいて実施した。OSはKaplan–Meier法およびCox比例ハザードモデルで解析し、多変量解析では、すべて治療開始前に把握可能な変数(年齢、性別、パフォーマンスステータス、腫瘍側性、転移臓器数、原発巣の残存、RAS/BRAF変異、同時性/異時性、フルオロピリミジンの種類)を評価した。
【結果】OS中央値はArm Aで27.2ヶ月、Arm Bで27.4ヶ月と両群間でほぼ同等であり、治療戦略による有意な差は認められなかった(HR=1.0、P=0.98)。一方、多変量解析の結果、BRAF V600E変異は最も強い不良予後因子であり(HR=6.16、P<0.0001)、RAS変異(HR=1.84、P=0.0005)、PS 1(HR=2.01、P=0.0009)、転移臓器数が2つ以上(HR=1.74、P=0.0005)、年齢70歳以上(HR=1.41、P=0.0336)、および男性(HR=1.44、P=0.0266)も有意に予後不良と関連していた。さらに、右側原発腫瘍は統計的有意には至らなかったものの、不良な生存傾向を示した(HR=1.38、P=0.0573)。
【結論】治療戦略によるOSの差は認められなかったが、治療前に評価可能な臨床的および分子学的因子がmCRCの予後に強く関与することが示された。特にBRAFおよびRAS変異、PS、転移臓器数、年齢、性別といった情報は、初期治療方針の決定や、手術先行の可否を判断するうえでも重要である。今後は、このような治療前情報を活用し、個別化治療戦略を構築することの重要性が一層高まると考えられる。