講演情報

[PD8-5]肛門科診療における地域医療の窓口としてのクリニックの役割

白畑 敦 (しらはた胃腸肛門クリニック横浜)
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肛門専門のクリニックは地域の肛門疾患診療の窓口としての役割が最も重要である。当院では近隣施設からの患者の受け入れ体制の構築、医師会での開業医に向けた講演、地域住人に向けた健康講演会、YouTubeなどのメディアによる肛門疾患の啓蒙活動も積極的に行っている。それ以外に『地域の肛門専門施設』として大規模病院の外科医と積極的に交流し情報提供や教育をすることも大きな役割と考えている。演者は総合病院のオープンベットシステムで診療と手術を担当することにより技術や知識を共有し、逆に希望がある外科医には当院の非常勤医師としてクリニックでの肛門診察や手術を担当して頂いている。肛門疾患はCommon diseaseであるにもかかわらず診療は専門施設に依存される傾向が強く多くの外科医は十分な経験や教育を受けていないのが現状である。日本外科学会の外科専門医取得にも肛門疾患の手術は必須手術に指定されていない。すなわち現状では肛門疾患手術の経験が無くても外科専門医になれる枠組みである。当院の非常勤外科医も肛門疾患の診療経験が少なく十分な教育を受ける機会が少なかったため苦手意識を強く持っていたため積極的に教育に取り組んでいる。当院から開院してから8年間で内痔核治療法研究会の四段階注射法講習会を11人が受講し、また日本大腸肛門病学会専門医取得のための肛門疾患の臨床研修の外科医の受け入れや地域の消化器専門クリニックの開業医への肛門診療の指導・アドバイスも積極的に行っている。地域に肛門診療を積極的に診て頂ける施設や医師が増える事により患者の紹介がスムーズになるだけでなく、肛門専門クリニックにとっても総合病院へ術後患者の緊急対応を要請した時に肛門に精通した外科医が適切に対応して頂けるため安心感が大きくメリットが大きい。地域における肛門疾患の良質な医療を効率的に提供できるようにクリニックと大規模病院と密な地域医療連携をとることが重要である。その中で肛門専門クリニックは様々な医療施設の橋渡しであり重要な役割を担う。当クリニックは肛門疾患の地域医療の窓口として最前線で支える意識で日々の診療に取り組んでいる。