講演情報
[PD9-3]体腔内吻合を行った右側結腸癌手術における腸管前処置とSSIとの関係
小澤 直也, 山口 智弘, 佐藤 健太郎, 野口 竜剛, 坂本 貴志, 松井 信平, 向井 俊貴, 秋吉 高志 (がん研有明病院消化器外科)
【背景】腹腔鏡下結腸癌手術における体腔内吻合では、腹腔内で腸管を開放するため、Surgical Site Infection(SSI)に注意が必要である。腸管前処置として、機械的腸管処置(mechanical bowel preparation:MBP)と経口抗菌薬(oral antibiotics:OA)の併用が国内外のガイドラインで推奨されているが、本邦ではOAが保険適用外であり、実施には施設差がある。そこで、腸管前処置がSSIに与える影響を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】2019年7月~2023年11月に右側結腸癌に対して腹腔鏡下(ロボット支援下含む)手術を行った778例のうち、体腔内吻合を施行した150例を対象とした。SSIのリスク因子について、各種臨床病理学的因子を共変量とした単変量・多変量解析を行った。
【結果】年齢中央値69歳、男性66例(44.0%)、MBPあり134例(89.3%)、OAあり102例(68.0%)。術式は回盲部切除46例(30.6%)、結腸右半切除86例(57.3%)、横行結腸切除18例(12.1%)。SSIは11例(7.3%)(表層切開創8例[5.3%]、臓器・体腔3例[1.8%])。Clavien-Dindo分類はGrade 1:8例、Grade 2:2例、Grade 3:1例。MBPなし(p=0.002)、OAなし(p=0.001)でSSIが有意に多く、OAなしは多変量解析で独立したSSI発生因子であった(p=0.023)。SSIあり群はSSIなし群と比較し、有意に入院期間が延長していた(中央値 9 vs. 8日, p=0.012)。次に、OAの有無で2群に分けて術後1日目のWBC、CRP(中央値)を比較した。OAあり群はOAなし群と比較し、WBC(9,390 vs. 10,900/μL, p=0.002)、CRP(3.8 vs. 7.8 mg/dL, p<0.001)が有意に低値であった。
【まとめ】腹腔鏡下右側結腸癌手術における体腔内吻合では、OAを含む腸管前処置が、SSI予防に有効な前処置と考えられた。
【対象と方法】2019年7月~2023年11月に右側結腸癌に対して腹腔鏡下(ロボット支援下含む)手術を行った778例のうち、体腔内吻合を施行した150例を対象とした。SSIのリスク因子について、各種臨床病理学的因子を共変量とした単変量・多変量解析を行った。
【結果】年齢中央値69歳、男性66例(44.0%)、MBPあり134例(89.3%)、OAあり102例(68.0%)。術式は回盲部切除46例(30.6%)、結腸右半切除86例(57.3%)、横行結腸切除18例(12.1%)。SSIは11例(7.3%)(表層切開創8例[5.3%]、臓器・体腔3例[1.8%])。Clavien-Dindo分類はGrade 1:8例、Grade 2:2例、Grade 3:1例。MBPなし(p=0.002)、OAなし(p=0.001)でSSIが有意に多く、OAなしは多変量解析で独立したSSI発生因子であった(p=0.023)。SSIあり群はSSIなし群と比較し、有意に入院期間が延長していた(中央値 9 vs. 8日, p=0.012)。次に、OAの有無で2群に分けて術後1日目のWBC、CRP(中央値)を比較した。OAあり群はOAなし群と比較し、WBC(9,390 vs. 10,900/μL, p=0.002)、CRP(3.8 vs. 7.8 mg/dL, p<0.001)が有意に低値であった。
【まとめ】腹腔鏡下右側結腸癌手術における体腔内吻合では、OAを含む腸管前処置が、SSI予防に有効な前処置と考えられた。