講演情報

[PD9-6]直腸癌手術における術前便スケールと縫合不全の関係

鄭 充善, 玉井 皓己, 大原 信福, 吉川 幸宏, 辻村 直人 (大阪ろうさい病院外科)
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【はじめに】待機的直腸癌手術における腸管前処置に関するエビデンスは不足している。また、直腸癌手術において術前便スケールと縫合不全の関連について具体的に検討した研究はない。
【目的】直腸癌に対して、腹腔鏡下またはロボット支援下に低位前方切除術を施行された患者において、術前便スケールが縫合不全に及ぼす影響を評価する。
【対象と方法】2018年1月から2024年12月までの間に、吻合を伴う腹腔鏡またはロボット支援下低位前方切除術を施行された204名において、術前便スケールと縫合不全の関係について検討した。術前便スケールは、非常に良好、良好、不良、不十分の4段階スケールで評価した。
【結果】機械的腸管前処置は94.6%の患者に実施された。 術前便スケール不良の患者はは、機械的前処置施行患者の7.8%、非施行患者の63.6%に認められた(p<0.001)。術前便スケール不良患者は、良好または非常に良好な患者と比較して、縫合不全発生率が高く(22.7% vs. 2.3%, p<0.001)、術後合併症率が高く(36.3% vs. 8.2%, p<0.001)、術後在院日数が長かった(22日 vs. 15日, p<0.001)。単変量解析では、腫瘍狭窄あり、術前便スケール不良、Prognostic Nutrition Index(<49.6)、腫瘍サイズ(>6㎝)が縫合不全と有意に関連しており、多変量解析では、術前便スケール不良が縫合不全と有意に相関していた(オッズ比7.364、95%信頼区間1.532-35.391、p=0.013)。
結論:術前便スケール不良は縫合不全の独立因子であった。