講演情報
[R1-4]内痔核に対する新たな治療法としてのESDの可能性
網岡 祐生1, 田中 秀典1,2, 田丸 弓弦2, 朝山 直樹2, 河野 友彦2, 桑井 寿雄2, 平賀 裕子2, 永田 信二2, 國弘 真己2, 岡 志郎1,2 (1.広島大学病院消化器内科, 2.広島消化管内視鏡リサーチグループ)
【背景】内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は早期大腸癌に対する内視鏡切除法として確立されている。下部直腸で歯状線に接する腫瘍に対するESD後に内痔核が改善することを経験するが,内痔核に対するESDの治療効果を検討した報告はほとんどない。今回,内痔核を合併した直腸ESDの治療成績からみた内痔核に対するESDの有用性を検討した。
【方法】2008年1月から2018年12月までに,広島消化管内視鏡リサーチグループ関連施設で大腸ESDを施行した3656症例3851病変のうち,歯状線に接し内痔核を有した34症例34病変のうちESD後サーベイランス大腸内視鏡検査で追跡可能であった23症例23病変を対象とした。既報のごとく, 内痔核の程度は内視鏡的に「なし」,「軽度」,「高度」に分類し,局所改善率(ESD後の瘢痕領域)と全体改善率を評価した。
【結果】切除した腫瘍の病理組織結果は腺腫10例 (43%),Tis癌9例 (39%),T1癌4例 (17%)であり,平均腫瘍径は30±17mmであった。 ESD前の内痔核の程度は軽度20例 (87%),高度3例 (13%)であった。一括切除率およびR0切除率はいずれも100%で,平均治療時間は94分であった。後出血を1例 (4%)に認めたが,内視鏡的止血術と保存的加療にて軽快した。また,術後狭窄を1例 (4%)に認め,計3回の内視鏡的バルーン拡張術を要した。ESDによる内痔核の局所改善率は83% (19/23),全体改善率は48% (11/23)であった。内痔核の程度による全体改善率は、軽度で40%(8/20)、高度で100%(3/3)であった。歯状線における周在性別の全体改善率は,1/2周性以上で75% (3/4),1/4〜1/2周性で42% (5/12),1/4周性未満で43% (3/7)であった。ESD後に改善を認めた症例ではその後の再増悪は認めなかった(観察期間中央値35ヶ月)。
【結語】ESDは内痔核に対して有用であり,ESDのストラテジーが内痔核に対する新たな治療法となる可能性が考えられた。
【方法】2008年1月から2018年12月までに,広島消化管内視鏡リサーチグループ関連施設で大腸ESDを施行した3656症例3851病変のうち,歯状線に接し内痔核を有した34症例34病変のうちESD後サーベイランス大腸内視鏡検査で追跡可能であった23症例23病変を対象とした。既報のごとく, 内痔核の程度は内視鏡的に「なし」,「軽度」,「高度」に分類し,局所改善率(ESD後の瘢痕領域)と全体改善率を評価した。
【結果】切除した腫瘍の病理組織結果は腺腫10例 (43%),Tis癌9例 (39%),T1癌4例 (17%)であり,平均腫瘍径は30±17mmであった。 ESD前の内痔核の程度は軽度20例 (87%),高度3例 (13%)であった。一括切除率およびR0切除率はいずれも100%で,平均治療時間は94分であった。後出血を1例 (4%)に認めたが,内視鏡的止血術と保存的加療にて軽快した。また,術後狭窄を1例 (4%)に認め,計3回の内視鏡的バルーン拡張術を要した。ESDによる内痔核の局所改善率は83% (19/23),全体改善率は48% (11/23)であった。内痔核の程度による全体改善率は、軽度で40%(8/20)、高度で100%(3/3)であった。歯状線における周在性別の全体改善率は,1/2周性以上で75% (3/4),1/4〜1/2周性で42% (5/12),1/4周性未満で43% (3/7)であった。ESD後に改善を認めた症例ではその後の再増悪は認めなかった(観察期間中央値35ヶ月)。
【結語】ESDは内痔核に対して有用であり,ESDのストラテジーが内痔核に対する新たな治療法となる可能性が考えられた。