講演情報
[R1-5]産婦人科医による痔核治療の手技と治療成績
森本 翔太 (エム産婦人科外科クリニック)
当院は約40年前に産婦人科クリニックとして開設し、2024年2月より名称変更し診療科目に肛門外科、女性外科を追加した。現在は分娩、婦人科手術、日帰り痔核手術を行なっている。常勤医一名、非常勤医二名で診療しており、主に分娩、手術は常勤医一名のみで行なっている。常勤医は消化器外科専門医取得後に産婦人科専門医を取得し一般外科、消化器外科の診療を経験している。内痔核単独のものはジオン注射(以下ALTA)単独療法または痔核結紮切除術(以下LE)を、外痔核単独のものはLEを、内外痔核に対してはLE+ALTAを行なっている。裂肛や痔瘻の根治術、直腸脱に対する手術は行なっていない。2024年2月から2025年4月までで36件の痔核根治術を施行した。30例がALTA+LE、4例がLE単独、2例がALTA単独であった。全例が女性、砕石位で施行し、35例は局所麻酔および静脈麻酔(ケタミン塩酸塩を使用)を併用した日帰り手術であり、1例のみが患者希望で脊椎麻酔下に2泊入院であった。ALTAは四段階注射法に基づきZ式肛門鏡を用いて砕石位で行なっている。LEは50万倍希釈ボスミンを用いてバルーンアップをした上で、炭酸ガスレーザーを用いて痔核を切除し、痔核根部の結紮及び半閉鎖法で行なっている。術後は最低でも半年間のフォローアップを行ない、現時点で術後再発はALTA+LE例の1例のみである。分娩及び婦人科手術と並行しており、女性に限定されるため症例数が少ないが、産婦人科クリニックに一般的に備わっている設備で問題なく施行できている。また女性であれば検診等で比較的慣れている内診台で診察も完結するため、羞恥心も少なくて済むものと考える。手術台は分娩、帝王切開時に使用するものと兼用で支障なく遂行できる。当然修練を要するが、経膣手術にも熟練した婦人医であれば、肛門手術の経験が少ない外科医より抵抗なく施行できると考える。