講演情報
[R1-6]肛門疾患における自己撮影の有用性と課題 ~自身の経験を通した撮影の工夫と提案~
那須 聡果 (ウィメンズクリニック浦和)
【背景】スマートフォンの普及により、肛門部病変の診断補助として患者自身による自己撮影が注目されている。特に直腸脱や強い腹圧時にのみ出現する痔核など、診察時に確認困難な病変では有用な情報が得られる可能性がある。一方で、撮影の困難さや画像の質に関する検討は十分でない。今回、自己撮影の診療的有用性を評価し、自験例から課題と工夫を検討した。
【方法】①2024年1月~12月に当院で確認した自己撮影画像17例について、画像の鮮明度と診療上の有用性を後方視的に評価。②筆者が肛門疾患を疑い自己撮影を試みた際の操作性・視認性を検討した。
【結果】①17例中10例は鮮明、7例はやや不鮮明であったが、全例で診断または治療方針の決定に有用だった。鮮明な画像の多くは家族の協力による撮影であった。直腸脱疑いの7例は、直腸脱2例、粘膜脱3例、小腸瘤2例(他院で確定)と診断。診察所見と訴えが一致しない2例では、自己撮影で脱出性内痔核または外痔核を確認。初診時に画像を持参した5例は、血栓性外痔核/嵌頓痔核2例、小さな肛門皮垂2例、他院術後変形1例であった。また、当院術後の患者3例が、自ら撮影した画像で経過確認を希望していた。
②筆者が肛門周囲膿瘍を疑い自己撮影を試みた際、片手で臀部を開きつつスマートフォンを操作するのは困難で、視認性も不良であった。第三者の協力がない場合、自身での静止画撮影は困難であったが、動画で録画を開始し両手で視野を確保したうえで、後で静止画(スクリーンショット)を抽出する方法は、操作性・視認性・鮮明度ともに優れていた。
【考察】自己撮影は診断補助として有用だが、撮影方法により診断価値に差が生じ得る。患者自身が撮影を行う場合、動画で記録し、後から適切な静止画を抽出する方法は実用的であり、直腸脱など動的病変には動画そのものが有効とも考えられる。一方、整容面への過度な関心から繰り返し肛門部を撮影・提示する患者もおり、スマートフォンの普及が不要な不安や受診動機を助長する側面もある。
【結論】今後、患者指導の場で動画撮影の有効性と撮影手法の工夫を周知・啓発していくことが望まれる。
【方法】①2024年1月~12月に当院で確認した自己撮影画像17例について、画像の鮮明度と診療上の有用性を後方視的に評価。②筆者が肛門疾患を疑い自己撮影を試みた際の操作性・視認性を検討した。
【結果】①17例中10例は鮮明、7例はやや不鮮明であったが、全例で診断または治療方針の決定に有用だった。鮮明な画像の多くは家族の協力による撮影であった。直腸脱疑いの7例は、直腸脱2例、粘膜脱3例、小腸瘤2例(他院で確定)と診断。診察所見と訴えが一致しない2例では、自己撮影で脱出性内痔核または外痔核を確認。初診時に画像を持参した5例は、血栓性外痔核/嵌頓痔核2例、小さな肛門皮垂2例、他院術後変形1例であった。また、当院術後の患者3例が、自ら撮影した画像で経過確認を希望していた。
②筆者が肛門周囲膿瘍を疑い自己撮影を試みた際、片手で臀部を開きつつスマートフォンを操作するのは困難で、視認性も不良であった。第三者の協力がない場合、自身での静止画撮影は困難であったが、動画で録画を開始し両手で視野を確保したうえで、後で静止画(スクリーンショット)を抽出する方法は、操作性・視認性・鮮明度ともに優れていた。
【考察】自己撮影は診断補助として有用だが、撮影方法により診断価値に差が生じ得る。患者自身が撮影を行う場合、動画で記録し、後から適切な静止画を抽出する方法は実用的であり、直腸脱など動的病変には動画そのものが有効とも考えられる。一方、整容面への過度な関心から繰り返し肛門部を撮影・提示する患者もおり、スマートフォンの普及が不要な不安や受診動機を助長する側面もある。
【結論】今後、患者指導の場で動画撮影の有効性と撮影手法の工夫を周知・啓発していくことが望まれる。