講演情報
[R10-1]直腸がんにおけるLow Anterior Resection Syndromeの発症予測因子と直腸肛門内圧との関連についての検討
林 理絵1,2, 三吉 範克1,2, 藤野 志季2, 関戸 悠紀1, 竹田 充伸1, 波多 豪1, 浜部 敦史1, 荻野 崇之1, 植村 守1, 土岐 祐一郎1, 江口 英利1 (1.大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学, 2.大阪国際がんセンターがん医療創生部)
【背景】Low Anterior Resection Syndrome (LARS)は主に排便機能に関わるQOL低下につながる機能障害の総称である。直腸がん術後の重要な合併症の一つであり、発症を予測することは重要である。
【目的】直腸がんにおけるLARSの発症予測因子と直腸肛門内圧との関連について検討を行う。
【方法】2011年6月から2023年10月までに当院でDSTまたは手縫い吻合を行った直腸がん手術症例のうち、術後のLARS scoreと直腸肛門内圧のデータを有する直腸がん症例(n=107)を対象とし、LARSの発症予測因子と直腸肛門内圧との関連性について検討した。本研究ではLARS scoreが21-29をMinor LARS、30以上をMajor LARSと定義した。直腸肛門内圧検査にはスターメディカル社製肛門内圧測定セット(東京)を用いた。また、検査時には最大随意収縮圧(mmHg)、最大静止圧(mmHg)のほか、機能的肛門管長(cm)を測定した。統計学的解析はJMP Pro 17.1.0を用いて行った。
【結果】患者背景は年齢中央値:63歳 (19-88歳)、男性/女性:64例/43例、BMI中央値:22.5 (16.0-33.3)であった。手術時間の中央値は336分 (69-1050分)、出血量の中央値は35ml (0-4910ml)であった。肛門縁から腫瘍までの距離の中央値は8cm (1-30cm)、肛門縁から吻合部までの距離の中央値は6cm (1-18cm)であった。107例のうち77例に術後のMinorまたはMajor LARSの発症を認めた(72%)。単変量解析の結果、術前治療の有無、手術時間、出血量、腫瘍までの距離、吻合部までの距離、術前静止圧が有意にLARS発症と相関した(p<0.05)。
【結論】LARSの発症と関連する因子について検討した。術後LARSの発症予測に有用である可能性が示唆された。
【目的】直腸がんにおけるLARSの発症予測因子と直腸肛門内圧との関連について検討を行う。
【方法】2011年6月から2023年10月までに当院でDSTまたは手縫い吻合を行った直腸がん手術症例のうち、術後のLARS scoreと直腸肛門内圧のデータを有する直腸がん症例(n=107)を対象とし、LARSの発症予測因子と直腸肛門内圧との関連性について検討した。本研究ではLARS scoreが21-29をMinor LARS、30以上をMajor LARSと定義した。直腸肛門内圧検査にはスターメディカル社製肛門内圧測定セット(東京)を用いた。また、検査時には最大随意収縮圧(mmHg)、最大静止圧(mmHg)のほか、機能的肛門管長(cm)を測定した。統計学的解析はJMP Pro 17.1.0を用いて行った。
【結果】患者背景は年齢中央値:63歳 (19-88歳)、男性/女性:64例/43例、BMI中央値:22.5 (16.0-33.3)であった。手術時間の中央値は336分 (69-1050分)、出血量の中央値は35ml (0-4910ml)であった。肛門縁から腫瘍までの距離の中央値は8cm (1-30cm)、肛門縁から吻合部までの距離の中央値は6cm (1-18cm)であった。107例のうち77例に術後のMinorまたはMajor LARSの発症を認めた(72%)。単変量解析の結果、術前治療の有無、手術時間、出血量、腫瘍までの距離、吻合部までの距離、術前静止圧が有意にLARS発症と相関した(p<0.05)。
【結論】LARSの発症と関連する因子について検討した。術後LARSの発症予測に有用である可能性が示唆された。