講演情報
[R10-2]当科での直腸切除術後における低位前方切除後症候群(LARS)増悪リスク因子および直腸肛門内圧の検討
松本 圭太, 大熊 祐輔, 鷹羽 律紀, 横山 亜也奈, 横井 亮磨, 水谷 千佳, 浅井 竜一, 田島 ジェシー雄, 藤林 勢世, 近石 和花菜, 三井 範基, 洞口 岳, 畑中 勇治, 深田 真宏, 安福 至, 佐藤 悠太, 田中 善宏, 村瀬 勝俊, 松橋 延壽 (岐阜大学医学部附属病院消化器外科)
【背景・目的】直腸切除術後の低位前方切除後症候群(LARS)に関して、直腸肛門内圧検査を含めたLARS増悪リスク因子の検討は少ない。本研究では、当科の直腸切除術後症例を対象に、LARSの増悪に関与するリスク因子および直腸肛門内圧との関連を検討した。LARSスコアに基づき、20点以下をNo LARS(N)、21–29点をMinor LARS(I)、30点以上をMajor LARS(A)と分類した。
【対象】2022年11月~2024年10月に当院で腹腔鏡/ロボット支援下で低位前方切除術/内肛門括約筋切除術を施行した症例のうち、術後6カ月(人工肛門造設例は閉鎖術後6カ月)時点でLARSスコアの測定が可能であった59例を対象とした。うち、術前からMajor LARSであった症例を除外した46例を解析対象とした。
【方法】術前および術後6カ月時点でLARSスコア、最大静止圧(MRP)、最大随意収縮圧(MSP)、機能的肛門管長(HPZ)を測定した。LARSが悪化した群(E群)と悪化しなかった群(U群)に分け、LARS増悪のリスク因子として、年齢、性別、術式、手術時間、出血量、腫瘍の位置、前治療(NAC/TNT)の有無、covering stomaの有無を評価した。
【結果】術前のLARSはN/I/A=37/9/0、術後は9/16/21であった。E群は33例(N→I:12例、I→A:4例、N→A:17例)、U群は13例であった。単変量解析において、E群はU群に比べ有意に年齢が若く(63.7歳 vs 72.8歳、p=0.0292)、腫瘍の位置がRbである割合が高かった(52% vs 15%、p=0.0250)。性別(男性:61% vs 53%)、術式(ISR:18% vs 0%)、手術時間(263分 vs 253分)、出血量(31mL vs 36mL)、前治療の有無(24% vs 15%)、covering stomaの有無(52% vs 31%)には有意差を認めなかったが、E群ではISR症例が多い傾向にあった。また、E群では術前と比較して術後6カ月のMRPの低下が有意に大きく、MSPも低下傾向を示した。HPZに有意な変化は認められなかった。
【結語】直腸切除術後におけるLARS増悪のリスク因子として、若年齢および腫瘍の位置がRbであることが挙げられた。また、LARSの増悪に伴いMRPが有意に低下し、MSPも低下傾向を示した。これらの結果から、LARSの病態にはMRPの低下が関与している可能性が示唆された。
【対象】2022年11月~2024年10月に当院で腹腔鏡/ロボット支援下で低位前方切除術/内肛門括約筋切除術を施行した症例のうち、術後6カ月(人工肛門造設例は閉鎖術後6カ月)時点でLARSスコアの測定が可能であった59例を対象とした。うち、術前からMajor LARSであった症例を除外した46例を解析対象とした。
【方法】術前および術後6カ月時点でLARSスコア、最大静止圧(MRP)、最大随意収縮圧(MSP)、機能的肛門管長(HPZ)を測定した。LARSが悪化した群(E群)と悪化しなかった群(U群)に分け、LARS増悪のリスク因子として、年齢、性別、術式、手術時間、出血量、腫瘍の位置、前治療(NAC/TNT)の有無、covering stomaの有無を評価した。
【結果】術前のLARSはN/I/A=37/9/0、術後は9/16/21であった。E群は33例(N→I:12例、I→A:4例、N→A:17例)、U群は13例であった。単変量解析において、E群はU群に比べ有意に年齢が若く(63.7歳 vs 72.8歳、p=0.0292)、腫瘍の位置がRbである割合が高かった(52% vs 15%、p=0.0250)。性別(男性:61% vs 53%)、術式(ISR:18% vs 0%)、手術時間(263分 vs 253分)、出血量(31mL vs 36mL)、前治療の有無(24% vs 15%)、covering stomaの有無(52% vs 31%)には有意差を認めなかったが、E群ではISR症例が多い傾向にあった。また、E群では術前と比較して術後6カ月のMRPの低下が有意に大きく、MSPも低下傾向を示した。HPZに有意な変化は認められなかった。
【結語】直腸切除術後におけるLARS増悪のリスク因子として、若年齢および腫瘍の位置がRbであることが挙げられた。また、LARSの増悪に伴いMRPが有意に低下し、MSPも低下傾向を示した。これらの結果から、LARSの病態にはMRPの低下が関与している可能性が示唆された。