講演情報
[R10-5]当科における直腸癌経肛門吻合術後に対する経肛門洗腸(transanal irrigation:TAI)の検討
甲田 貴丸1,2, 船橋 公彦1,3, 牛込 充則1, 金子 奉暁1, 鏡 哲1, 鈴木 孝之1, 長嶋 康雄1, 三浦 康之1, 渡邉 健太郎1, 的場 周一郎1 (1.東邦大学医療センター大森病院消化器外科, 2.甲田医院, 3.横浜総合病院消化器外科)
肛門近傍の直腸癌に対する肛門温存手術が増加する一方で術後排便障害患者の対応が急務と考え当科では2017年5月から消化器外科医師、皮膚・排泄ケア(WOC)認定看護師、栄養士、理学療法士、薬剤師の多職種からなる術後排便障害チームを立ち上げ術後排便障害外来を開設し診療を開始した。外来にて排便日誌や内服薬の評価、排便造影検査、内圧検査などの種々の検査を行い月1回の排便障害カンファレンスにて治療方針を決定している。
食事指導や薬物療法を中心とした保存治療で改善しない症例に対して経肛門洗腸療法(transanal irrigation,以下TAI)を治療の選択肢の一つとしている。TAIは経肛門的な洗腸で定期的に直腸から左結腸を空虚化する治療である。我々は以前より当院の医療機器適応外使用の承認を得て、直腸癌術後排便障害に対してストーマからの洗腸に使用するコーンカテーテルを使用したTAIによる排便管理法を導入してきた。
直腸癌術後では、腸管穿孔のリスクがあり腹腔内の癒着や吻合部周囲の腸管の状態によって洗腸療法が安全に施行できるか評価する必要があると考えている。そのため洗腸療法を導入する前に、透視下にコーンカテーテルを用いて造影剤を注入し腸管の形態や洗腸の状況を把握している。
2024年4月現在、直腸癌に対する経肛門吻合部術後の排便障害6例に対して経肛門洗腸療法を導入しており、安全に施行できている。
6例の内訳は男性4例/女性2例、術式は経肛門吻合(CAA)5例/Toal ISR1例、腸管の洗浄量は透視下の造影剤注入量を参考にして300-500mlであった。
TAI導入後の評価は、評価できた6例中3例でWISは改善していた。
過去の報告では、TAIはその手技の煩雑さのため途中中断が多い事が指摘されているが当科では現時点で全ての症例でTAIが継続できている。その理由として連日の洗腸ではなくライフスタイルに合わせて2-3日ごとに洗腸を行っているためと考えている。
食事指導や薬物療法を中心とした保存治療で改善しない症例に対して経肛門洗腸療法(transanal irrigation,以下TAI)を治療の選択肢の一つとしている。TAIは経肛門的な洗腸で定期的に直腸から左結腸を空虚化する治療である。我々は以前より当院の医療機器適応外使用の承認を得て、直腸癌術後排便障害に対してストーマからの洗腸に使用するコーンカテーテルを使用したTAIによる排便管理法を導入してきた。
直腸癌術後では、腸管穿孔のリスクがあり腹腔内の癒着や吻合部周囲の腸管の状態によって洗腸療法が安全に施行できるか評価する必要があると考えている。そのため洗腸療法を導入する前に、透視下にコーンカテーテルを用いて造影剤を注入し腸管の形態や洗腸の状況を把握している。
2024年4月現在、直腸癌に対する経肛門吻合部術後の排便障害6例に対して経肛門洗腸療法を導入しており、安全に施行できている。
6例の内訳は男性4例/女性2例、術式は経肛門吻合(CAA)5例/Toal ISR1例、腸管の洗浄量は透視下の造影剤注入量を参考にして300-500mlであった。
TAI導入後の評価は、評価できた6例中3例でWISは改善していた。
過去の報告では、TAIはその手技の煩雑さのため途中中断が多い事が指摘されているが当科では現時点で全ての症例でTAIが継続できている。その理由として連日の洗腸ではなくライフスタイルに合わせて2-3日ごとに洗腸を行っているためと考えている。