講演情報
[R11-1]当院における大腸憩室穿孔に対する手術適応、術式および治療成績に関する検討
熊野 健二郎, 三谷 嘉史, 島原 実理, 延永 裕太, 赤井 正明, 杭瀬 崇, 丸山 昌伸, 松村 年久, 山野 寿久, 高木 章司, 池田 英二 (岡山赤十字病院消化器外科)
【目的】当院での大腸憩室穿孔症例の臨床的特徴と治療成績を明らかにし,治療方針の再評価を行う。
【方法】2014 年1月から2024年12月までの10年間に、当院で経験した大腸憩室穿孔連続59症例を非手術治療群(保存的治療または経皮的ドレナージ)と手術群に分けて、後方視的に比較検討した.
【成績】男/女=36/23、穿孔部はA:T:D:S=4:2:3:50例、HincheyⅠ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ=28/7/11/13。非手術治療群(30例)、手術群(29 例)。両群間で年齢、性別、BMI、病悩期間に有意差を認めなかった。非手術治療群のうち、ドレナージ治療は1例だった。
非手術治療群の成功率は73%(22/30)。8例(HincheyⅠ/Ⅱ/Ⅲ=4/3/1)が治療抵抗性で、全員に入院中の手術が行われた。術式は切除吻合5例、縫合閉鎖1例、Hartmann手術2例で、縫合不全を認めなかった。
手術群の術式は、開腹手術22例、腹腔鏡手術7例で、Hartmann 手術20例、切除吻合9例だった。腹腔鏡手術は開腹手術と比べ、HincheyⅠ/Ⅱ症例が多い傾向にあり、一期的吻合の割合が有意に高かったが(5例 vs 2例 p<0.01)、手術時間は有意に長かった(205分 vs 265分 p=0.03)。出血量や術後合併症の発生率に有意差を認めなかったが、術後平均在院日数は腹腔鏡手術の方が有意に短かった(13日 vs 20日 p=0.01)。
手術群でClavien-Dindo(CD) Ⅲ以上の術後合併症を4例に認め、CDⅢa/Ⅳa/Ⅴ=1/2/1だった。合併症群ではBMI<18.5の低体重割合が有意に高かった。Hinchey分類や術前prognostic nutritional index(PNI)と術後合併症の間に相関を認めなかった。手術群の術後在院日数の中央値は17日(8-45)、自宅退院率は79%(23/29)、ストーマ閉鎖率は45%(9/20)だった。
【結語】Hinchey 分類に基づいた治療方針の決定が重要である。緊急手術では重症例も多く、ハルトマン手術が多いが、非手術治療に抵抗性で、手術となった場合は切除吻合が選択される傾向にあった。本検討では腹腔鏡手術は開腹手術と比べ、軽症例に適応される傾向にあり、切除吻合割合が高く、術後在院日数も有意に短い事から、症例を選べば有用と考えられる。
【方法】2014 年1月から2024年12月までの10年間に、当院で経験した大腸憩室穿孔連続59症例を非手術治療群(保存的治療または経皮的ドレナージ)と手術群に分けて、後方視的に比較検討した.
【成績】男/女=36/23、穿孔部はA:T:D:S=4:2:3:50例、HincheyⅠ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ=28/7/11/13。非手術治療群(30例)、手術群(29 例)。両群間で年齢、性別、BMI、病悩期間に有意差を認めなかった。非手術治療群のうち、ドレナージ治療は1例だった。
非手術治療群の成功率は73%(22/30)。8例(HincheyⅠ/Ⅱ/Ⅲ=4/3/1)が治療抵抗性で、全員に入院中の手術が行われた。術式は切除吻合5例、縫合閉鎖1例、Hartmann手術2例で、縫合不全を認めなかった。
手術群の術式は、開腹手術22例、腹腔鏡手術7例で、Hartmann 手術20例、切除吻合9例だった。腹腔鏡手術は開腹手術と比べ、HincheyⅠ/Ⅱ症例が多い傾向にあり、一期的吻合の割合が有意に高かったが(5例 vs 2例 p<0.01)、手術時間は有意に長かった(205分 vs 265分 p=0.03)。出血量や術後合併症の発生率に有意差を認めなかったが、術後平均在院日数は腹腔鏡手術の方が有意に短かった(13日 vs 20日 p=0.01)。
手術群でClavien-Dindo(CD) Ⅲ以上の術後合併症を4例に認め、CDⅢa/Ⅳa/Ⅴ=1/2/1だった。合併症群ではBMI<18.5の低体重割合が有意に高かった。Hinchey分類や術前prognostic nutritional index(PNI)と術後合併症の間に相関を認めなかった。手術群の術後在院日数の中央値は17日(8-45)、自宅退院率は79%(23/29)、ストーマ閉鎖率は45%(9/20)だった。
【結語】Hinchey 分類に基づいた治療方針の決定が重要である。緊急手術では重症例も多く、ハルトマン手術が多いが、非手術治療に抵抗性で、手術となった場合は切除吻合が選択される傾向にあった。本検討では腹腔鏡手術は開腹手術と比べ、軽症例に適応される傾向にあり、切除吻合割合が高く、術後在院日数も有意に短い事から、症例を選べば有用と考えられる。