講演情報

[R11-4]大腸憩室に伴うS状結腸膀胱瘻に対する手術治療成績

諏訪 宏和1, 大坊 侑1, 田 鐘寛3, 諏訪 雄亮2, 小澤 真由美2, 大田 洋平1, 野尻 和典1, 小野 秀高1, 吉田 謙一1, 熊本 宜文1 (1.横須賀共済病院外科, 2.横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 3.横浜市立大学消化器・腫瘍外科学)
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【背景】食事の欧米化などで大腸憩室症が増加し,それに伴い,S状結腸膀胱瘻の治療機会も増加してきている。
【目的】S状結腸膀胱瘻に対する手術の治療成績について検討する。
【対象】2012年より2024年までに大腸憩室に伴うS状結腸膀胱瘻に対し,手術を施行した20例を対象とした。
【結果】年齢中央値70歳,男性19例,女性1 例。初診時に高度あるいはコントロール不良な炎症を有する症例は7例で,緊急で人工肛門造設術のみが施行された。責任憩室部の腸切除術は,開腹手術1例,腹腔鏡下手術19例。初回人工肛門のみ造設例では,S状結腸切除術6例,Hartmann手術1例。直接腸切除を施行した例では,S状結腸切除術10例,S状結腸切除術(一時的人工肛門造設併施)2例,Hartmann手術1例。手術時間中央値266分,出血量中央値10ml。膀胱壁の処置は,全層での部分切除・縫合2例,筋層縫合4例,無処置14例。術後,膀胱カテーテル造影を6例で施行。留置期間中央値は7日で,術後在院日数中央値は9日であった。術後合併症は,創感染2例,尿路感染2例,イレウス2例,遺残膿瘍1例で,腸管縫合不全や膀胱からの尿漏出は認めなかった。
【結語】大腸憩室に伴うS状結腸膀胱瘻に対する腸切除術は安全に施行可能であった。一時的人工肛門造設非造設例でも縫合不全なく経過したが,憩室が広範囲に多発している症例では憩室が吻合に影響する可能性があるため,一時的人工肛門造設を考慮するべきである。