講演情報
[R11-5]当科における膀胱瘻合併大腸憩室炎手術の変遷
原田 岳, 川村 崇文, 諌見 恵理, 小山 夏樹, 一瀨 健太, 河西 怜, 井田 進也, 大菊 正人, 田村 浩章, 稲葉 圭介, 落合 秀人 (浜松医療センター消化器外科)
【はじめに】瘻孔合併大腸憩室炎は憩室症ガイドラインで大腸切除術の適応とされているが、近年腹腔鏡手術による一期的切除の有効性が報告されている。【方法】2019年1月から2025年3月までに、当科で施行された大腸憩室炎手術症例25例中、術前に膀胱瘻合併大腸憩室炎と診断された9例について、年齢、性別、術前検査、手術アプローチ(待機手術/緊急手術、開腹手術/腹腔鏡手術)、手術時間、術中出血量、術後病理について検討した。【結果】年齢は62.3歳、全例が男性であった。全例待機手術で行われており、6例で泌尿器科との合同手術が施行されていた。手術アプローチは開腹手術3例、腹腔鏡手術が6例であった。手術時間は開腹手術で382.7分、腹腔鏡手術で340.5分、術中出血は開腹手術で401ml、腹腔鏡手術で62.5mlだった。【まとめ】膀胱瘻合併大腸憩室炎手術は膀胱への癒着の程度により剥離層の設定が難しく、開腹手術でも腹腔鏡手術でも安全な手術の施行には時間がかかる。出血量が少ないことは腹腔鏡手術の利点でもあるが、膀胱瘻合併手術でもその利点が確認できた。腹腔鏡手術の2023年以降は合同手術は減少し腹腔鏡手術が増加しており、腹腔鏡手術の習熟度やトラブルシューティングが洗練してきたことによると思われる。