講演情報
[R12-4]手術成績からみた直腸脱術式の検討
緒方 俊二, 鮫島 隆志, 鮫島 加奈子, 江藤 忠明, 長友 俊郎, 山元 由芙子, 山下 芳恵, 前田 裕之, 吉元 崇文 (潤愛会鮫島病院)
[はじめに] 直腸脱に対する当院の治療法は経肛門的手術として脱出長2-3cmの短いものはMuRAL法、長いものはGant-Miwa法、Delorme法、(+ Thiersch法)、等を行っており、経腹的手術としてはメッシュを用いた腹腔鏡下直腸後方固定術(Wells法)を行っている。各術式の手術成績を検討し、治療アプローチ法を考察した。
[対象と方法] 2018年1月より2025年4月の間に行った直腸脱手術症例376例(重複症例含む)を対象とした。経肛門的、経腹的手術それぞれの成績(手術時間、在院日数、合併症、再発率等)について検討を行った。
[Wells法手技]直腸の剥離は全周に行う。背側は尾骨先端より2cm奥まで、側方は肛門挙筋付着部手前まで、腹側は腹膜翻転部より3-4cm肛門側まで剥離する。メッシュはT字型とし、背側はキャプシャーで仙骨に固定。直腸を約2/3周包み、非吸収糸(エチボンド)にて左右とも4-5針ずつ縫合する。
[結果]全症例の平均年齢は80.1歳で男女比は1:6.1であった。 (1)経肛門的手術症例346例においては平均年齢81.5歳(34-99歳)、男女比は1:7.1であった。手術時間は37.9分、術後在院日数は13.0日(1-44日)であった。合併症は28例(8.1%)に認めた(Thiersch関連、出血、尿路感染、穿孔等)。死亡例はなかった。再発は68例(19.7%)に認め、再手術を必要とした。再発までの時期はさまざま(1-2583日)であったが、中央値は144日後であった。68例中21例は3回以上(最多6回)の手術を必要とした。(2)経腹的手術症例30例(初発例13例、再発例17例)においては平均年齢71.6歳(36-94歳)、男女比は1:4であった。手術時間は227分、術後在院日数は12.7日(7-30日)であった。合併症は5例(16.7%)に認めた(尿路感染、排便困難、肺炎等)。死亡例はなかった。再発は1例(3.3%)に認めたが、経肛門的手術(Gant-Miwa +Thiersch法)にて治癒した。
[まとめ]
直腸脱に対する経肛門的手術は手術時間が短く侵襲は少ないが、再発率は19.7%と高かった。経腹的手術は合併症が16.7%と高めであったが、重篤なものはなかった。再発率は3.3%と低かった。術後合併症のリスクが低く、再発が懸念される症例に対して経腹的手術は積極的に選択されるべき術式と思われた。
[対象と方法] 2018年1月より2025年4月の間に行った直腸脱手術症例376例(重複症例含む)を対象とした。経肛門的、経腹的手術それぞれの成績(手術時間、在院日数、合併症、再発率等)について検討を行った。
[Wells法手技]直腸の剥離は全周に行う。背側は尾骨先端より2cm奥まで、側方は肛門挙筋付着部手前まで、腹側は腹膜翻転部より3-4cm肛門側まで剥離する。メッシュはT字型とし、背側はキャプシャーで仙骨に固定。直腸を約2/3周包み、非吸収糸(エチボンド)にて左右とも4-5針ずつ縫合する。
[結果]全症例の平均年齢は80.1歳で男女比は1:6.1であった。 (1)経肛門的手術症例346例においては平均年齢81.5歳(34-99歳)、男女比は1:7.1であった。手術時間は37.9分、術後在院日数は13.0日(1-44日)であった。合併症は28例(8.1%)に認めた(Thiersch関連、出血、尿路感染、穿孔等)。死亡例はなかった。再発は68例(19.7%)に認め、再手術を必要とした。再発までの時期はさまざま(1-2583日)であったが、中央値は144日後であった。68例中21例は3回以上(最多6回)の手術を必要とした。(2)経腹的手術症例30例(初発例13例、再発例17例)においては平均年齢71.6歳(36-94歳)、男女比は1:4であった。手術時間は227分、術後在院日数は12.7日(7-30日)であった。合併症は5例(16.7%)に認めた(尿路感染、排便困難、肺炎等)。死亡例はなかった。再発は1例(3.3%)に認めたが、経肛門的手術(Gant-Miwa +Thiersch法)にて治癒した。
[まとめ]
直腸脱に対する経肛門的手術は手術時間が短く侵襲は少ないが、再発率は19.7%と高かった。経腹的手術は合併症が16.7%と高めであったが、重篤なものはなかった。再発率は3.3%と低かった。術後合併症のリスクが低く、再発が懸念される症例に対して経腹的手術は積極的に選択されるべき術式と思われた。