講演情報
[R13-4]直腸GISTに対する低侵襲手術の治療成績
日吉 幸晴, 山下 晃平, 有馬 浩太, 小澄 敬祐, 原田 和人, 江藤 弘二郎, 井田 智, 宮本 裕士, 岩槻 政晃 (熊本大学大学院消化器外科学)
【はじめに】
大腸原発の消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor:GIST)は5-10%とされ、そのほとんどが直腸に発生する。GIST診療ガイドラインでは臓器機能を温存した外科的完全切除が推奨されているが、直腸GISTではしばしば肛門機能温存が問題となる。当科では、直腸巨大GISTに対する術前イマチニブ投与や、さまざまな低侵襲手術アプローチによって根治性と機能温存の両立を目指している。
【対象と方法】
2015年以降に当科で手術を行った直腸GIST 12例の治療成績をretrospectiveに解析し、術前治療や低侵襲アプローチの有用性を検討した。
【結果】
対象12例の年齢(中央値)は71(48-81)歳、性別(男/女)は7/5。初発GIST/再発GIST:11/1で、腫瘍部位は11例がRbで1例のみRSであった。初診時の腫瘍径(中央値)は35(10-100)mmで5例(42%)に術前イマチニブ投与を行った。イマチニブ投与を行った症例の腫瘍縮小率(中央値)は68(46-73)%であった。手術アプローチは、傍仙骨アプローチ:4例、ロボット経腹アプローチ:4例、経肛門アプローチ(TAMIS):3例、腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS):1例で、全例で肛門温存可能であった(5例で一時的人工肛門造設)。12例全例でR0切除が行われ、Clavien-Dindo grade 3以上の術後合併症を2例に認めた(縫合不全とポート孔ヘルニア)。観察期間(中央値)55ヶ月で、1例に術後7年目の骨盤内局所再発を認め、再発切除(APR)を行った。
【結論】
直腸GISTの外科的切除においては、腫瘍の局在や大きさによって、術前イマチニブの適応と手術アプローチを適切に選択することで、根治性と臓器機能温存が可能になる。
大腸原発の消化管間質腫瘍(Gastrointestinal stromal tumor:GIST)は5-10%とされ、そのほとんどが直腸に発生する。GIST診療ガイドラインでは臓器機能を温存した外科的完全切除が推奨されているが、直腸GISTではしばしば肛門機能温存が問題となる。当科では、直腸巨大GISTに対する術前イマチニブ投与や、さまざまな低侵襲手術アプローチによって根治性と機能温存の両立を目指している。
【対象と方法】
2015年以降に当科で手術を行った直腸GIST 12例の治療成績をretrospectiveに解析し、術前治療や低侵襲アプローチの有用性を検討した。
【結果】
対象12例の年齢(中央値)は71(48-81)歳、性別(男/女)は7/5。初発GIST/再発GIST:11/1で、腫瘍部位は11例がRbで1例のみRSであった。初診時の腫瘍径(中央値)は35(10-100)mmで5例(42%)に術前イマチニブ投与を行った。イマチニブ投与を行った症例の腫瘍縮小率(中央値)は68(46-73)%であった。手術アプローチは、傍仙骨アプローチ:4例、ロボット経腹アプローチ:4例、経肛門アプローチ(TAMIS):3例、腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS):1例で、全例で肛門温存可能であった(5例で一時的人工肛門造設)。12例全例でR0切除が行われ、Clavien-Dindo grade 3以上の術後合併症を2例に認めた(縫合不全とポート孔ヘルニア)。観察期間(中央値)55ヶ月で、1例に術後7年目の骨盤内局所再発を認め、再発切除(APR)を行った。
【結論】
直腸GISTの外科的切除においては、腫瘍の局在や大きさによって、術前イマチニブの適応と手術アプローチを適切に選択することで、根治性と臓器機能温存が可能になる。