講演情報
[R14-2]大腸癌患者における SII-CAR scoreの予後予測マーカーとしての検討
北嶋 貴仁1,2, 奥川 喜永1,2, 家城 英治2, 嶌村 麻生2, 佐藤 友紀2, 山下 真司2, 市川 崇3, 長野 由佳2, 浦谷 亮2, 今岡 裕基2, 志村 匡信2, 川村 幹雄2, 松下 航平2, 安田 裕美2, 小池 勇樹2, 大北 喜基2, 吉山 繁幸2, 大井 正貴2, 小林 美奈子3, 問山 裕二2 (1.三重大学医学部附属病院ゲノム医療部, 2.三重大学医学部大学院消化管・小児外科学, 3.三重大学医学部大学院先端的外科技術開発学)
【背景】癌患者の予後リスクを層別化する指標として様々な炎症栄養指標が報告され,近年では systemic immune inflammatory index(SII)とC-reactive protein(CRP)/albumin ratio (CAR)を用いたSII-CAR scoreが新たな予後予測の指標として報告されている.しかし,大腸癌患者におけるSII-CAR scoreの臨床的意義は未だ不明である. 今回,大腸癌における術前SII-CAR scoreと腫瘍学的予後リスクおよび術後感染性合併症リスクとの関連を検討したので報告する.
【方法】2005年から2014年までに当科にて原発切除し,評価可能であった大腸癌472例を対象とした.術前血液検査の結果からSII(好中球数x血小板数/リンパ球数), CAR(CRP/albumin)を計算し,中央値をカットオフとし,高値・低値をそれぞれ1・0とし, 和をSII-CAR scoreとした.SII-CAR scoreと大腸癌の臨床病理学的因子および腫瘍学的予後・術後感染性合併症との関連について検討した.
【結果】大腸癌472例中,SII-CAR score 0は148例,1は176例, 2は148例であり, SII-CAR score 2は低分化型,T3以深,リンパ管侵襲陽性,脈管侵襲陽性,リンパ節転移陽性,遠隔転移陽性と有意に相関を認めた(すべてp<0.01).予後・再発に関する検討では,Overall survival(OS), Disease Free Survival (DFS)ともに, SII-CAR score 2群はscore0-1群に比べて有意に予後不良であった(OS,DFS: p<0.001). OS,DFSに対する多変量解析では, SII-CAR score 2群は独立した予後不良因子であった(OS;p=0.003, DFS; p=0.016).術後手術部位感染症発症に対する多変量解析では, SII-CAR score 2群が独立した危険予測因子であった(p=0.045).
【結論】大腸癌患者において,SII-CAR scoreは周術期リスクならびに腫瘍学的予後に対する有用なマーカーである可能性が示唆された.
【方法】2005年から2014年までに当科にて原発切除し,評価可能であった大腸癌472例を対象とした.術前血液検査の結果からSII(好中球数x血小板数/リンパ球数), CAR(CRP/albumin)を計算し,中央値をカットオフとし,高値・低値をそれぞれ1・0とし, 和をSII-CAR scoreとした.SII-CAR scoreと大腸癌の臨床病理学的因子および腫瘍学的予後・術後感染性合併症との関連について検討した.
【結果】大腸癌472例中,SII-CAR score 0は148例,1は176例, 2は148例であり, SII-CAR score 2は低分化型,T3以深,リンパ管侵襲陽性,脈管侵襲陽性,リンパ節転移陽性,遠隔転移陽性と有意に相関を認めた(すべてp<0.01).予後・再発に関する検討では,Overall survival(OS), Disease Free Survival (DFS)ともに, SII-CAR score 2群はscore0-1群に比べて有意に予後不良であった(OS,DFS: p<0.001). OS,DFSに対する多変量解析では, SII-CAR score 2群は独立した予後不良因子であった(OS;p=0.003, DFS; p=0.016).術後手術部位感染症発症に対する多変量解析では, SII-CAR score 2群が独立した危険予測因子であった(p=0.045).
【結論】大腸癌患者において,SII-CAR scoreは周術期リスクならびに腫瘍学的予後に対する有用なマーカーである可能性が示唆された.