講演情報
[R14-5]リンパ節転移分布が結腸癌の予後に与える影響
八尾 健太1, 笠井 俊輔1, 塩見 明生1, 眞部 祥一1, 田中 佑典1, 小嶋 忠浩1, 井垣 尊弘1, 森 千浩1, 石黒 哲史1, 坂井 義博1, 髙嶋 祐助1, 谷田部 悠介1, 辻尾 元1, 横山 希生人1, 小林 尚輝1, 山本 祥馬1, 畠山 慶一2, 山口 建3 (1.静岡県立静岡がんセンター大腸外科, 2.静岡県立静岡がんセンター研究所ゲノム解析研究部, 3.静岡県立静岡がんセンター)
【背景】リンパ節転移は大腸癌のステージングを決定する重要な因子であるが、その分布やリンパ節構造のない壁外非連続性がん進展病巣(EX)が予後に与える影響は明らかではない。本検討の目的はEXを含めたリンパ節転移分布が結腸癌の予後に与える影響を明らかにすることとした。
【方法】2014-2018年に当院で原発性結腸癌に対して根治切除が施行され、かつ手術検体に対するマルチオミクス解析を行うHOPEプロジェクトに参加した症例を対象とした。さらに、非治癒切除症例・D0/1郭清症例を除外し、予後について後ろ向きに検討した。リンパ節転移・EXの有無を検討し、リンパ節転移分布を腸管傍リンパ節、中間リンパ節(Inter)、主リンパ節(Main)に分類した。さらに腸管傍リンパ節を腫瘍からの距離を5cmごとに区切り、腫瘍から0-5cm(Para)・5-10cm(Horizontal)に分けて評価した。それぞれの症例においてKRAS変異・BRAF変異・MSI status・Consensus Molecular Subtype (CMS) を評価した。
【結果】対象症例の1030例のうち、pStage II/III/IVが518/399/113例、pT2/3/4が150/474/370例であった。リンパ節転移は全体の47%であり、pN1/2が316/173例であった。EXは全体の219例(21%)であった。部位別に検討するとリンパ節転移はPara/Horizontal/Inter/Mainにおいて全症例の59/3/12/2%に陽性であった。無再発生存期間(RFS)に対するリスク因子を同定するために多変量解析を行ったところ、CEA高値、遠隔転移あり、神経侵襲陽性と合わせて、EX陽性(HR:1.60, 95%CI:1.16–2.21, p=0.05)が独立したリスク因子として同定された。EX陽性は、陰性に比べて有意にRFS(5-year RFS, 55.6 vs 72.8%, p<0.001)、全生存期間(OS; 5-year OS, 78.4 vs 88.4%, p<0.001)が不良であった。さらにpN2症例においてもEX陽性は陰性と比べて予後不良であった。EX・リンパ節転移分布によって変異やCMS に明らかな違いはなかった。
【考察】EX陽性がRFSに対する独立したリスク因子であることを示した。大腸癌取扱い規約やTNM分類で評価されるリンパ節転移の個数とEXの有無を組み合わせることで、さらに正確な予後予測が可能かもしれない。
【方法】2014-2018年に当院で原発性結腸癌に対して根治切除が施行され、かつ手術検体に対するマルチオミクス解析を行うHOPEプロジェクトに参加した症例を対象とした。さらに、非治癒切除症例・D0/1郭清症例を除外し、予後について後ろ向きに検討した。リンパ節転移・EXの有無を検討し、リンパ節転移分布を腸管傍リンパ節、中間リンパ節(Inter)、主リンパ節(Main)に分類した。さらに腸管傍リンパ節を腫瘍からの距離を5cmごとに区切り、腫瘍から0-5cm(Para)・5-10cm(Horizontal)に分けて評価した。それぞれの症例においてKRAS変異・BRAF変異・MSI status・Consensus Molecular Subtype (CMS) を評価した。
【結果】対象症例の1030例のうち、pStage II/III/IVが518/399/113例、pT2/3/4が150/474/370例であった。リンパ節転移は全体の47%であり、pN1/2が316/173例であった。EXは全体の219例(21%)であった。部位別に検討するとリンパ節転移はPara/Horizontal/Inter/Mainにおいて全症例の59/3/12/2%に陽性であった。無再発生存期間(RFS)に対するリスク因子を同定するために多変量解析を行ったところ、CEA高値、遠隔転移あり、神経侵襲陽性と合わせて、EX陽性(HR:1.60, 95%CI:1.16–2.21, p=0.05)が独立したリスク因子として同定された。EX陽性は、陰性に比べて有意にRFS(5-year RFS, 55.6 vs 72.8%, p<0.001)、全生存期間(OS; 5-year OS, 78.4 vs 88.4%, p<0.001)が不良であった。さらにpN2症例においてもEX陽性は陰性と比べて予後不良であった。EX・リンパ節転移分布によって変異やCMS に明らかな違いはなかった。
【考察】EX陽性がRFSに対する独立したリスク因子であることを示した。大腸癌取扱い規約やTNM分類で評価されるリンパ節転移の個数とEXの有無を組み合わせることで、さらに正確な予後予測が可能かもしれない。