講演情報
[R15-3]15mm以上の大腸腫瘍に対するUnder water EMRの有効性と安全性の検討―EMRとの比較から―
高雄 暁成, 飯塚 敏郎, 井関 真理, 船曳 隼大, 岡 靖紘, 森口 義亮, 野間 絵梨子, 清水口 涼子, 柴田 理美, 後藤 修 (がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科)
【背景・目的】大腸腫瘍に対する内視鏡的切除術として従来から広く用いられてきたEndoscopic Mucosal Resection(EMR)に加え、近年では浸水下で切除するUnderwater EMR(UEMR)が注目されているが、EMRとの安全性・有効性の比較検討は十分ではない。今回それらを比較検討することを目的とした。
【対象・方法】
当院で2023年1月~2025年3月までに内視鏡的切除を施行した大腸腫瘍のうち、特に15mm以上の病変に対して、EMR(CEMR群)もしくはUEMR(UEMR群)施行した病変を対象とした。2群間における肉眼型、大きさ等の病変情報や、一括切除率、偶発症について後方視的に比較検討を行った。
【結果】
CEMR群では115病変(SSL:15例、腺腫23例、癌77例)が認められ、病変の平均サイズは18±2.9mm、切除検体では21±4.6mm、表面型は29病変(25%)、抗血栓薬使用は15例(13%)、右側結腸50例(44%)。一括切除率は83%、表面型での一括切除率は80%、R0切除率は79%、クリップ使用本数は平均3.9±2.1本であり、合併症では後出血例3(2.6%)、穿孔例0例であった。
UEMR群では68病変(SSL:29例、腺腫16例、癌23例)が認められ、病変の平均サイズは19±3.4mm(P=0.12)、切除検体では23±5.0mm(P<0.05)、表面型は、56病変(83%)(P<0.05)、抗血栓薬使用は14例(21%)(p=0.21)、右側結腸の病変は56例(83%)(P<0.05)。一括切除率は85%(P=0.70)、R0切除率は74%(P=0.47)、表面型での一括切除率は86%(P=0.54)、クリップ使用本数は平均4.0±1.8本(P=0.70) であり、合併症では、後出血は0例(P=0.30)、穿孔1例(1.5%)(P=0.37)に見られた。
【結語】
UEMRは表面型および右側結腸病変に多く用いられていた。切除検体サイズはUEMR群で有意に大きかったが、一括切除率、R0切除率、偶発症においてEMRとの有意差は認められなかった。病変の形態や部位に応じて、両手技を適切に使い分けることが重要である。
【対象・方法】
当院で2023年1月~2025年3月までに内視鏡的切除を施行した大腸腫瘍のうち、特に15mm以上の病変に対して、EMR(CEMR群)もしくはUEMR(UEMR群)施行した病変を対象とした。2群間における肉眼型、大きさ等の病変情報や、一括切除率、偶発症について後方視的に比較検討を行った。
【結果】
CEMR群では115病変(SSL:15例、腺腫23例、癌77例)が認められ、病変の平均サイズは18±2.9mm、切除検体では21±4.6mm、表面型は29病変(25%)、抗血栓薬使用は15例(13%)、右側結腸50例(44%)。一括切除率は83%、表面型での一括切除率は80%、R0切除率は79%、クリップ使用本数は平均3.9±2.1本であり、合併症では後出血例3(2.6%)、穿孔例0例であった。
UEMR群では68病変(SSL:29例、腺腫16例、癌23例)が認められ、病変の平均サイズは19±3.4mm(P=0.12)、切除検体では23±5.0mm(P<0.05)、表面型は、56病変(83%)(P<0.05)、抗血栓薬使用は14例(21%)(p=0.21)、右側結腸の病変は56例(83%)(P<0.05)。一括切除率は85%(P=0.70)、R0切除率は74%(P=0.47)、表面型での一括切除率は86%(P=0.54)、クリップ使用本数は平均4.0±1.8本(P=0.70) であり、合併症では、後出血は0例(P=0.30)、穿孔1例(1.5%)(P=0.37)に見られた。
【結語】
UEMRは表面型および右側結腸病変に多く用いられていた。切除検体サイズはUEMR群で有意に大きかったが、一括切除率、R0切除率、偶発症においてEMRとの有意差は認められなかった。病変の形態や部位に応じて、両手技を適切に使い分けることが重要である。