講演情報
[R16-3]Fusobacterium nucleatumに対するブラッククミンの抗菌力
石川 正夫1, 山田 浩平1,2, 村田 貴俊3, 花田 信弘4, 渋谷 耕司1 (1.OHS研究所, 2.フェアウェル合同会社, 3.鶴見大学歯学部口腔衛生学講座, 4.上海理工大学光化学与光材料研究院)
【目的】
Fusobacterium nucleatumは、口腔内常在菌で歯周病や産生する硫化水素やメチルメルカプタンは、口臭の原因となることが知られているが、近年、腸内へ移行し、大腸癌の発症や進行に関与する可能性が報告されている。本研究では、食品として摂取可能な天然物の中から、F. nucleatumに対する抗菌および硫黄化合物代謝阻害を有するものについて探索を行った。
【試料および方法】
植物材料:植物の抽出物およびインド産のキンポウゲ科のブラッククミン(Nigella sativa L.)の種子精油と含有成分
使用菌株:Fusobacterium nucleatum ATCC25586 (以下、Fn菌と略す)
抗菌試験:最小発育阻止濃度(MIC)は96well plateにサンプルを段階希釈調製し、5ppmヘミンおよび0.5ppmメナジオンを含むTryptic Soy Brothで前培養したFn菌を分注し、嫌気下48時間培養しOD655より判定した。
代謝物測定:Fn菌および大腸菌発現系を用いたリコンビナントFn菌L-メチオニン-γ-リアーゼ(メチオニナーゼ)を用いて、L-メチオニンの代謝物である硫化水素(H2S)およびメチルメルカプタン(CH3SH)はガスクロマトグラフ法で、α-ケト酪酸とアンモニアは比色法で測定した。
【結果】
ブラッククミン種子精油(BC)はFn菌に対しMICは63 ppmであり抗菌活性を示した。また、精油中の含有量が最も多いチモキノン(TQ)のMICは31ppm、チモハイドロキノンは16ppm、チモールは125ppmであった。L-メチオニンの代謝物評価は、100ppmのBCおよびTQでCH3SH量が減少し、チモールでは変化しなかった。さらに、メチオニナーゼ阻害活性もBC、TQは10ppmレベルで効果が認められた。
[考察及び結論]
今回、BCおよびTQにFn菌に対する強い抗菌活性があり、特にTQは、Fn菌の代謝阻害や酵素阻害作用が認められた。BCは、口臭・歯周病予防のみならず、消化管内におけるF. nucleatumのアミノ酸代謝阻害に寄与し腸内フローラ改善に働くことが期待される。
Fusobacterium nucleatumは、口腔内常在菌で歯周病や産生する硫化水素やメチルメルカプタンは、口臭の原因となることが知られているが、近年、腸内へ移行し、大腸癌の発症や進行に関与する可能性が報告されている。本研究では、食品として摂取可能な天然物の中から、F. nucleatumに対する抗菌および硫黄化合物代謝阻害を有するものについて探索を行った。
【試料および方法】
植物材料:植物の抽出物およびインド産のキンポウゲ科のブラッククミン(Nigella sativa L.)の種子精油と含有成分
使用菌株:Fusobacterium nucleatum ATCC25586 (以下、Fn菌と略す)
抗菌試験:最小発育阻止濃度(MIC)は96well plateにサンプルを段階希釈調製し、5ppmヘミンおよび0.5ppmメナジオンを含むTryptic Soy Brothで前培養したFn菌を分注し、嫌気下48時間培養しOD655より判定した。
代謝物測定:Fn菌および大腸菌発現系を用いたリコンビナントFn菌L-メチオニン-γ-リアーゼ(メチオニナーゼ)を用いて、L-メチオニンの代謝物である硫化水素(H2S)およびメチルメルカプタン(CH3SH)はガスクロマトグラフ法で、α-ケト酪酸とアンモニアは比色法で測定した。
【結果】
ブラッククミン種子精油(BC)はFn菌に対しMICは63 ppmであり抗菌活性を示した。また、精油中の含有量が最も多いチモキノン(TQ)のMICは31ppm、チモハイドロキノンは16ppm、チモールは125ppmであった。L-メチオニンの代謝物評価は、100ppmのBCおよびTQでCH3SH量が減少し、チモールでは変化しなかった。さらに、メチオニナーゼ阻害活性もBC、TQは10ppmレベルで効果が認められた。
[考察及び結論]
今回、BCおよびTQにFn菌に対する強い抗菌活性があり、特にTQは、Fn菌の代謝阻害や酵素阻害作用が認められた。BCは、口臭・歯周病予防のみならず、消化管内におけるF. nucleatumのアミノ酸代謝阻害に寄与し腸内フローラ改善に働くことが期待される。