講演情報

[R17-1]ロボット直腸手術での技術認定取得を目指した当院での取り組み

山田 典和1, 上原 広樹1, 井 翔一郎1, 五十嵐 優人1, 萩原 千恵1, 北川 祐資4, 小林 壽範1, 森 至弘1, 諏訪 雄亮2, 小澤 真由美3, 三城 弥範4, 渡邉 純1 (1.関西医科大学下部消化管外科学講座, 2.横浜市立大学付属市民総合医療センター消化器病センター, 3.横浜市立大学消化器・腫瘍外科, 4.関西医科大学総合医療センター下部消化管外科)
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【背景】2018 年4月よりロボット直腸手術が保険適応となり、2023年度から日本内視鏡外科学会の技術認定においてロボット手術の審査が開始した。【目的】我々は、ロボット手術特有の鉗子動作や手術手順を言語化・定型化し、指導医が第一助手に入ることで、技術認定取得を目指すとともに術者の技量による成績差を減らす工夫をしている。その手術手技のポイントを供覧し短期成績を検討する。【方法】2022年10月から2025年2月まで、S状結腸癌、直腸癌に対して卒後8年目以下の若手術者とプロクターにより施行されたロボット手術205例について、短期成績を比較した。対象期間での若手術者は7名で、いずれも技術認定医未取得で期間内にロボット手術1例目を経験している。【成績】患者背景は若手(80例)vsプロクター(125例)でそれぞれ、年齢 71.5(36-86)vs 67(21-92)歳(p=0.4936)、男性/女性 38/42 vs 81/44例(p=0.0234)、BMI 23.1(14.8-31.2)vs 22.9(16.2-36.2)㎏/㎝2(p=0.1436)、腫瘍占拠部位 S/RS/Ra/Rb 28/15/16/21 vs 11/14/41/59例(p<0.001)、cStage 0・I・II・III・IV 1/37/13/23/5 vs 0/41/25/42/16例(NET1 vs 1例)(p=0.0086)、施行術式はS状結腸切除・高位前方切除・低位前方切除 27/14/39 vs 10/13/102例(p<0.001)であった。手術成績は、手術時間 235(107-407)vs 221(104-590)分(p=0.3271)、出血量 0(0-370)vs 4(0-602)ml(p=0.0908)で、Grade II以上の術後合併症は11 vs 23例(13.8 vs 18.4%)(p=0.9294)に認め、その内訳は縫合不全(2例(2.5%) vs 12例(9.6%))、排尿障害(2例(2.5%) vs 2例(1.6%))などであった。術後在院日数は8(5-39)vs 10(4-52)日(p<0.001)であった。プロクター症例は男性、進行癌、低位切離吻合が多いため有意に術後在院日数が長いが、手術時間、出血量、合併症に有意差はなかった。【結論】S状結腸癌、直腸癌に対するロボット手術は、指導医が第一助手に入り言語化・定型化することで若手医師に安全に導入されている。この手法がロボット手術での技術認定取得を目指すにあたり有効であることが示唆される。