講演情報

[R18-3]ロボット大腸切除術の教育において複数種の機器を用いるメリットはあるか

肥田 侯矢, 板谷 喜朗, 岡村 亮輔, 星野 伸晃, 山本 健人, 吉田 祐, 前田 将宏, 青山 龍平, 笠原 桂子, 坂本 享史, 奥村 慎太郎, 坂口 正純, 上野 剛平, 北野 翔一, 久森 重夫, 角田 茂, 小濵 和貴 (京都大学消化管外科)
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【背景】
2023年より新規企業の参入により、手術支援ロボットの選択肢が日本国内でも拡大し、大腸手術領域においても多様な機器の導入が可能となった。大規模病院では、単一機種に統一するか、複数種の機器を導入するかの選択が求められる。当院では、3種類の手術支援ロボットを導入・運用しており、それぞれの運用上の利点および課題を検討した。
【対象および方法】
当院で運用している手術支援ロボットは、da Vinci、hinotori、Hugoの3機種である。これらの運用に携わる医師、看護師、臨床工学技士らからの聞き取りを通じて情報を収集し、教育的観点からのメリット・デメリットを考察した。
【デメリット】
各機種に特有の操作や管理方法の習得が必要であり、医療スタッフ全体への教育的負担が大きい。洗浄やメンテナンスの方法が機種ごとに異なり、それに応じた専用器具や鉗子、ポートの準備・保管・在庫管理が求められる。
【メリット】
新規参入機種の一部では、導入コストや運用費用の面で経済的な利点が認められる。異なるロボット機種を使用することにより、各機種の特性や優位点が相対的に明確となる。また教育の場においては、展開の原則といった共通操作に加え、機種ごとの特徴に応じた個別操作を教えることにより、機器の構造的理解と安全性への意識を深めることが可能となる。
【考察】
複数のロボット機種を運用することは、医療現場における運用負担や教育的コストを伴うが、各機種の利点を比較検討し言語化することで、教育的な深みが増し、実践的理解の促進が期待される。