講演情報

[R2-2]上行結腸狭窄を呈し急速な経過を辿ったGroove膵癌の1例

塩崎 翔平1,3, 小野 紘輔2, 倉吉 学2, 中原 雅浩2 (1.JA吉田総合病院外科, 2.JA尾道総合病院外科, 3.広島大学消化器・移植外科)
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症例は84歳の男性。202X年Y月に発熱、腹痛認めたため当院を受診した。GISでは十二指腸球部から下行脚にびらんを認めた。EUSも施行したが膵に明らかな腫瘍性病変は指摘できなかった。CSで上行結腸浮腫状狭窄認めCTでは上行結腸壁肥厚による狭窄と後腹膜脂肪濃度上昇認めた。Y+2月にイレウスの所見あり当院消化器内科入院。イレウス管挿入し経過観察したもののイレウスは改善せず当科紹介となりY+3月に上行結腸狭窄に対して手術施行した。腹腔鏡で手術施行したものの後腹膜の慢性炎症が著明で結腸間膜との剥離が困難であり開腹移行とし右側結腸切除を施行した。病理組織の結果は転移性の腺癌であった。原発巣としては肺癌が疑われたがY+4月にPET-CT撮像した所右腎門部近傍にFDGの集積を認めたものの肺含めその他腫瘍臓器に異常集積なく原発巣の特定はできなかった。そのY+6月に腸閉塞の症状認めCT施行した所右後腹膜の腫瘍の再発増大と多発肝転移、多発肺転移認め緊急入院となった。イレウス管挿入し加療したものの改善しないためY+6月+19日に腹腔鏡下小腸横行結腸バイパス術を施行した。しかしその後も全身状態は悪化の一途を辿りY+6月+27日に永眠された。原発巣特定のために病理解剖を施行した。病理解剖の結果膵頭部、十二指腸背側、総胆管に囲まれた膵Groove領域に5×5×4cmの腫瘍を認めた。pancreatic grooveの腫瘍はPoorly differentiated adenocarcinomaであり後腹膜や十二指腸に広範に直接浸潤していた。また肺や肝臓に転移性腫瘍結節多発しており肺動脈には腫瘍塞栓認め急変の原因となっていた。以上上行結腸狭窄を呈し急速な経過を辿ったGroove膵癌の1例を経験したため文献的な考察も加え報告する。