講演情報
[R20-2]進行横行結腸癌とESD非適応の直腸Schwannomaに対してロボット支援下拡大結腸右半切除術+Transanal minimally invasive surgeryで切除し得た1例
越智 優, 平木 将之, 在田 麻美, 柳澤 公紀, 安井 昌義, 武田 裕, 村田 幸平 (関西労災病院消化器外科)
【背景】
近年腹腔鏡下手術やロボット支援下手術による手術の低侵襲化が進んでいるが、下部直腸病変では根治切除のために肛門、排尿機能低下を伴う術式を選択せざるを得ない場合も多い。直腸良性腫瘍や早期下部直腸癌に対してはTransanal minimally invasive surgery(TAMIS)も適応とされており、低侵襲で肛門機能温存が可能と大きな利点がある。
【症例】
80歳代の女性。血便を主訴に当院紹介受診した。精査の結果、進行横行結腸癌および直腸腫瘤(AV6cm)を認め、直腸腫瘤は生検によりSchwannoma疑いであったが、局在が翻転部近傍であり、かつEUSで第4層までの浸潤を認めたためESD非適応となった。
進行横行結腸癌に対してロボット支援下拡大結腸右半切除術を、直腸腫瘤に関してはTAMISでの切除の方針とした。TAMISにより、腹腔内との交通を起こさず切除し、全層1層連続縫合で縫縮した。手術時間は341分、出血は少量で問題なく終了した。術後経過は問題なく術後11日目に退院とした。術後標本での病理結果はSchwannoma、RM0の診断であった。
【考察】
直視下での経肛門的切除では視野の確保が困難であるが、TAMISでは単孔式ポートを装着することで比較的良好な視野を確保することができ、鉗子操作も腹腔鏡下手術と同様であるという利点がある。腫瘍局在や深達度のため、内視鏡的切除術での治療が困難な場合は、有用なアプローチである。
また腹会陰式直腸切断術や超低位前方切除術と比較して、明らかに侵襲は少なく、肛門機能だけでなく、排尿、性機能も温存でき、縫合不全等のリスクもないという多くのメリットが挙げられる。本症例では同時にロボット支援下に拡大結腸右半切除を行なっていることや直腸病変は良性腫瘍であることを考慮すると、TAMISによる低侵襲な切除ができたことは術後合併症のリスク低減やQOLの向上に寄与すると考えられる。患者腫瘍背景や病変の悪性度、内視鏡治療によるリスク等に応じてTAMISの適応を検討することは非常に有用と考えられる。
近年腹腔鏡下手術やロボット支援下手術による手術の低侵襲化が進んでいるが、下部直腸病変では根治切除のために肛門、排尿機能低下を伴う術式を選択せざるを得ない場合も多い。直腸良性腫瘍や早期下部直腸癌に対してはTransanal minimally invasive surgery(TAMIS)も適応とされており、低侵襲で肛門機能温存が可能と大きな利点がある。
【症例】
80歳代の女性。血便を主訴に当院紹介受診した。精査の結果、進行横行結腸癌および直腸腫瘤(AV6cm)を認め、直腸腫瘤は生検によりSchwannoma疑いであったが、局在が翻転部近傍であり、かつEUSで第4層までの浸潤を認めたためESD非適応となった。
進行横行結腸癌に対してロボット支援下拡大結腸右半切除術を、直腸腫瘤に関してはTAMISでの切除の方針とした。TAMISにより、腹腔内との交通を起こさず切除し、全層1層連続縫合で縫縮した。手術時間は341分、出血は少量で問題なく終了した。術後経過は問題なく術後11日目に退院とした。術後標本での病理結果はSchwannoma、RM0の診断であった。
【考察】
直視下での経肛門的切除では視野の確保が困難であるが、TAMISでは単孔式ポートを装着することで比較的良好な視野を確保することができ、鉗子操作も腹腔鏡下手術と同様であるという利点がある。腫瘍局在や深達度のため、内視鏡的切除術での治療が困難な場合は、有用なアプローチである。
また腹会陰式直腸切断術や超低位前方切除術と比較して、明らかに侵襲は少なく、肛門機能だけでなく、排尿、性機能も温存でき、縫合不全等のリスクもないという多くのメリットが挙げられる。本症例では同時にロボット支援下に拡大結腸右半切除を行なっていることや直腸病変は良性腫瘍であることを考慮すると、TAMISによる低侵襲な切除ができたことは術後合併症のリスク低減やQOLの向上に寄与すると考えられる。患者腫瘍背景や病変の悪性度、内視鏡治療によるリスク等に応じてTAMISの適応を検討することは非常に有用と考えられる。