講演情報

[R20-3]骨盤方向へ浸潤を伴う右側結腸癌に対するロボット支援手術の工夫と課題

奥山 晃世1, 鈴木 卓弥1, 福田 真里1, 加藤 潤紀1, 浅井 宏之1, 上原 崇平1, 加藤 瑛1, 牛込 創1, 山川 雄士1, 髙橋 広城2, 瀧口 修司1 (1.名古屋市立大学病院消化器・一般外科, 2.名古屋市立大学医学部附属西部医療センター)
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【はじめに】
大腸癌に対するロボット支援手術は,その精緻な操作性と安定した視野確保を可能とする点から,近年,標準的治療選択肢の一つとして広く普及してきている.一方で,複数方向への切除を要する症例では術野展開に制限があり,ポート配置やアームドッキングに工夫を要する.今回我々は,盲腸癌および虫垂癌が骨盤方向へ浸潤した2症例に対してロボット支援下に広範囲結腸切除を施行したため報告する.
【症例】
症例1は60歳代女性.貧血を主訴に受診され,腹部CTで,盲腸癌,膀胱・子宮浸潤,S状結腸浸潤,傍大動脈リンパ節転移を認めた.通過障害を認めていたため,根治手術を見据え,腹腔鏡下回腸横行結腸バイパス術を施行したのちに,化学療法を施行し根治目的にロボット支援腹腔鏡下回盲部切除術+骨盤内蔵全摘術(直腸切除セッティング+1ポート)を施行した.術後経過は良好で術後23日で退院となった.症例2は70歳代女性.便潜血陽性を主訴に受診され,下部内視鏡検査で回盲部腫瘍(生検:粘液癌)を認めた.腹部CT検査で4㎝大の虫垂腫瘍,小腸・S状結腸浸潤を認め,虫垂粘液癌の診断となり,ロボット支援腹腔鏡下回盲部切除術+S状結腸部分切除(右半結腸切除セッティング+1ポート)を施行した.術後ポートサイトヘルニア嵌頓に対して緊急手術を行ったが,経過としては良好で術後26日で退院となった.いずれの症例も根治切除が可能であった.
【考察】
本症例のように,広範囲な臓器浸潤を認める進行癌に対するロボット支援手術の報告は少なく,外科的切除には高度は戦略が求められる.右側及び左側結腸,さらには骨盤深部までの捜査を見据え,術前から計画をすることで,ポート数を最小限に抑えることができ,ドッキングの効率化を図ったうえで,安全かつ円滑な手術遂行が可能であったと考える.
【結語】
骨盤方向へ浸潤を伴う右半結腸癌に対し,ロボット支援下に根治的切除を行った2例を経験した.本術式における戦略と工夫についてビデオを交えて報告する.