講演情報
[R21-1]回腸双孔式人工肛門に対する人工肛門閉鎖における合併症とそのリスク因子
門野 政義, 岡林 剛史, 茂田 浩平, 森田 覚, 北川 雄光 (慶應義塾大学医学部外科学教室(一般・消化器))
【目的】回腸双孔式人工肛門造設術の多くは,直腸癌や潰瘍性大腸炎などに対する根治術に併施され,その場合は通常初回手術から数か月が経過した時点で人工肛門閉鎖術を施行する.初回手術と比較して低侵襲であること,小腸-小腸吻合になることがほとんどであることから,その合併症リスクが過小評価されることも多い.今回は,当院における回腸双硬式人工肛門に対する人工肛門閉鎖術における短期成績をまとめて報告する.
【方法】2022年1月から2025年4月まで当院で回腸双孔式人工肛門に対する人工肛門閉鎖術を施行した症例を対象とし,後方視的に検討した.
【結果】対象は99例,年齢中央値は62歳(51-73歳),初回手術の術式は直腸癌に対するロボット支援下あるいは腹腔鏡下直腸前方切除術54例,潰瘍性大腸炎またはFAPに対する腹腔鏡下大腸全摘術21例,穿孔性腹膜炎に対する緊急手術9例,その他15例であった.初回手術から人工肛門閉鎖までの期間の中央値は156日(113-205日)であった.平均手術時間は74.4±28.2分であった.合併症は20例(20%)にみられ,縫合不全2例,小腸穿孔1例,吻合部血腫1例,腹腔内膿瘍3例,イレウス10例,非特異的腸炎2例,その他1例であった.縫合不全,小腸穿孔,吻合部血腫を生じた3例については再手術を要し,いずれも吻合部切除を含む小腸部分切除を施行したが,人工肛門の再造設は要しなかった.併存疾患としての糖尿病の有無,喫煙歴,ステロイドの内服の有無,抗血栓薬の内服の有無,術者(レジデントまたは上級医)について,それぞれ合併症の有無との関連を検討したところ,いずれも有意な関連はみられなかった.
【結論】回腸双孔式人工肛門に対する人工肛門閉鎖術において20%で合併症が生じ,3.0%の症例で再手術を要していた.人工肛門閉鎖術においては必ず開腹歴を有しており,癒着のリスクがあることがその原因として考えられるが,今回の検討ではその原因として有意な関連を示した因子は同定されなかった.
【方法】2022年1月から2025年4月まで当院で回腸双孔式人工肛門に対する人工肛門閉鎖術を施行した症例を対象とし,後方視的に検討した.
【結果】対象は99例,年齢中央値は62歳(51-73歳),初回手術の術式は直腸癌に対するロボット支援下あるいは腹腔鏡下直腸前方切除術54例,潰瘍性大腸炎またはFAPに対する腹腔鏡下大腸全摘術21例,穿孔性腹膜炎に対する緊急手術9例,その他15例であった.初回手術から人工肛門閉鎖までの期間の中央値は156日(113-205日)であった.平均手術時間は74.4±28.2分であった.合併症は20例(20%)にみられ,縫合不全2例,小腸穿孔1例,吻合部血腫1例,腹腔内膿瘍3例,イレウス10例,非特異的腸炎2例,その他1例であった.縫合不全,小腸穿孔,吻合部血腫を生じた3例については再手術を要し,いずれも吻合部切除を含む小腸部分切除を施行したが,人工肛門の再造設は要しなかった.併存疾患としての糖尿病の有無,喫煙歴,ステロイドの内服の有無,抗血栓薬の内服の有無,術者(レジデントまたは上級医)について,それぞれ合併症の有無との関連を検討したところ,いずれも有意な関連はみられなかった.
【結論】回腸双孔式人工肛門に対する人工肛門閉鎖術において20%で合併症が生じ,3.0%の症例で再手術を要していた.人工肛門閉鎖術においては必ず開腹歴を有しており,癒着のリスクがあることがその原因として考えられるが,今回の検討ではその原因として有意な関連を示した因子は同定されなかった.