講演情報
[R21-3]術前CT画像を用いた回腸人工肛門造設後の排液量の予測
足立 陽子, 鈴村 博史, 松本 健司, 笹倉 勇一, 寺内 寿彰, 吉川 貴久, 篠崎 浩治 (済生会宇都宮病院外科)
【背景】一時的人工肛門の造設部位として結腸もしくは回腸の選択肢があるが、後者はしばしばhigh-outputが問題となる。リスク因子として大腸全摘や術後腸閉塞等の報告があるものの、CT画像所見に関する報告はない。今回、CT画像を用いて回腸人工肛門造設後の排液量の予測が可能であるかを検討した。
【対象と方法】当院で2015年6月から2025年1月までに下部直腸癌に対して低位前方切除術+回腸人工肛門造設術を施行した50例を対象とした。他部位の腸管切除症例、腫瘍性腸閉塞の症例は除外した。術前のCTで回腸末端の便性状を評価し、①空気を多く含む泥状便様(泥状便群)、②空気が含まれないもしくは液面形成を認める水様便様(水様便群)の2群に分類し、術後のストマ排液量との関連を統計学的に解析した。
【結果】年齢の中央値は66(58-73)歳で、性別の内訳は男性40人、女性10人であった。食事開始日の中央値は術後3(2-3)日目で、術後在院日数の中央値は16(12-22)日であった。ストマからの最大1日排液量は、中央値が1305(825-1685)mLであった。術後のストマ部閉塞を2例(4%)で認めた。その2例を除いた48例のうち、泥状便群が30例、水様便群が18例であった。術後7日目以降の最大1日排液量が1500mLを超える症例は、泥状便群で1例(3.3%)、水様便群で5例(27.8%)、2000mLを超える症例は、泥状便群で0例(0%)、水様便群で3例(16.7%)であり、いずれも有意に水様便群で多い結果であった(p=0.013/p=0.021)。また、止痢薬を必要とした症例に関しても泥状便群で3例(10.0%)、水様便群で8例(44.4%)と後者で有意に多い結果であった(p=0.006)。
【結語】回腸人工肛門造設後の排液量や止痢薬の使用は、術前のCT画像所見と有意に関連していた。一時的人工肛門の造設部位の決定は、背景疾患や全身状態の他、CT画像所見も加味した総合的な判断が望まれることが示唆された。
【対象と方法】当院で2015年6月から2025年1月までに下部直腸癌に対して低位前方切除術+回腸人工肛門造設術を施行した50例を対象とした。他部位の腸管切除症例、腫瘍性腸閉塞の症例は除外した。術前のCTで回腸末端の便性状を評価し、①空気を多く含む泥状便様(泥状便群)、②空気が含まれないもしくは液面形成を認める水様便様(水様便群)の2群に分類し、術後のストマ排液量との関連を統計学的に解析した。
【結果】年齢の中央値は66(58-73)歳で、性別の内訳は男性40人、女性10人であった。食事開始日の中央値は術後3(2-3)日目で、術後在院日数の中央値は16(12-22)日であった。ストマからの最大1日排液量は、中央値が1305(825-1685)mLであった。術後のストマ部閉塞を2例(4%)で認めた。その2例を除いた48例のうち、泥状便群が30例、水様便群が18例であった。術後7日目以降の最大1日排液量が1500mLを超える症例は、泥状便群で1例(3.3%)、水様便群で5例(27.8%)、2000mLを超える症例は、泥状便群で0例(0%)、水様便群で3例(16.7%)であり、いずれも有意に水様便群で多い結果であった(p=0.013/p=0.021)。また、止痢薬を必要とした症例に関しても泥状便群で3例(10.0%)、水様便群で8例(44.4%)と後者で有意に多い結果であった(p=0.006)。
【結語】回腸人工肛門造設後の排液量や止痢薬の使用は、術前のCT画像所見と有意に関連していた。一時的人工肛門の造設部位の決定は、背景疾患や全身状態の他、CT画像所見も加味した総合的な判断が望まれることが示唆された。