講演情報
[R22-3]大腸吻合予定部のICG到達時間に影響する因子と臨床的意義
河内 雅年, 寿美 裕介, 徳本 雄己, 日浦 雄太, 吉川 雄大, 篠原 充, 山口 恵美, 濱岡 道則, 堀田 龍一, 豊田 和広 (東広島医療センター消化器外科)
【はじめに】
大腸癌手術の吻合前に行うICGを用いた血流評価は、簡便かつ吻合予定部血流の有無を視覚で直接認識できる利点がある。また、ICG検査を行うことで術後縫合不全が減少するとの報告もあることから、その手技は広く普及しつつある。しかし、ICGが吻合予定部へ到達するまでの時間に関する知見は十分ではない。
【目的】当院で経験した大腸癌手術の際に行ったICG検査で、ICG到達時間の臨床的意義や影響を与える因子について解析を行い、報告する。
【対象と方法】2024年1月~2025年3月までに当院で手術を行った大腸癌118症例の患者背景や術中・周術期因子を用いて解析した。ICGは中枢郭清と腸間膜処理を行った後に全例3ml静注し、吻合部へ到達するまでの時間を測定した。
【結果】大腸癌118例においてICG到達時間の中央値は28秒であったため、2群に分け到達時間に影響する因子について解析した。【28秒未満】:【28秒以上】では、年齢(歳)(中央値)=73:71(P=0.39)、性別(男)=28(42%):33(65%)(P=0.01)、BMI=23.3:23.5(P=0.65)、病変の位置(右側)=31(46%):18(35%)(P=0.23)、Alb=4.1:4.1(P=0.87)、EF=66.9:64.3(P=0.002)、心疾患既往(あり)=5(7%):9(18%)(P=0.09)、DM(あり)=18(27%):8(16%)(P=0.14)であった。術中因子では、手術時間(分)=178:205(P<0.01)、出血(ml)=5:10(P=0.23)、収縮期血圧(mmHg)=95:99(P=0.27)、平均血圧=68:68.5(P=0.52)、脈拍=64:64(P=0.71)、体温(℃)=36.2:36.3(P=0.79)であった。また、縫合不全=0:3(5.9%)(P=0.04)であった。
【考察】今回の検討では、ICG到達時間が短い群で有意に縫合不全が少なかった。また到達時間に影響する因子解析では、女性、手術時間が短い、EFが高い症例で有意に短くなっていた。心疾患の既往がない症例でも短くなる傾向を認めていた。
以上の結果から、患者自身の循環動態がICG到達時間に影響を与えており、循環動態の不安定性が縫合不全のリスクとなっている可能性が示唆された。
大腸癌手術の吻合前に行うICGを用いた血流評価は、簡便かつ吻合予定部血流の有無を視覚で直接認識できる利点がある。また、ICG検査を行うことで術後縫合不全が減少するとの報告もあることから、その手技は広く普及しつつある。しかし、ICGが吻合予定部へ到達するまでの時間に関する知見は十分ではない。
【目的】当院で経験した大腸癌手術の際に行ったICG検査で、ICG到達時間の臨床的意義や影響を与える因子について解析を行い、報告する。
【対象と方法】2024年1月~2025年3月までに当院で手術を行った大腸癌118症例の患者背景や術中・周術期因子を用いて解析した。ICGは中枢郭清と腸間膜処理を行った後に全例3ml静注し、吻合部へ到達するまでの時間を測定した。
【結果】大腸癌118例においてICG到達時間の中央値は28秒であったため、2群に分け到達時間に影響する因子について解析した。【28秒未満】:【28秒以上】では、年齢(歳)(中央値)=73:71(P=0.39)、性別(男)=28(42%):33(65%)(P=0.01)、BMI=23.3:23.5(P=0.65)、病変の位置(右側)=31(46%):18(35%)(P=0.23)、Alb=4.1:4.1(P=0.87)、EF=66.9:64.3(P=0.002)、心疾患既往(あり)=5(7%):9(18%)(P=0.09)、DM(あり)=18(27%):8(16%)(P=0.14)であった。術中因子では、手術時間(分)=178:205(P<0.01)、出血(ml)=5:10(P=0.23)、収縮期血圧(mmHg)=95:99(P=0.27)、平均血圧=68:68.5(P=0.52)、脈拍=64:64(P=0.71)、体温(℃)=36.2:36.3(P=0.79)であった。また、縫合不全=0:3(5.9%)(P=0.04)であった。
【考察】今回の検討では、ICG到達時間が短い群で有意に縫合不全が少なかった。また到達時間に影響する因子解析では、女性、手術時間が短い、EFが高い症例で有意に短くなっていた。心疾患の既往がない症例でも短くなる傾向を認めていた。
以上の結果から、患者自身の循環動態がICG到達時間に影響を与えており、循環動態の不安定性が縫合不全のリスクとなっている可能性が示唆された。