講演情報

[R24-2]微細膜構造を意識したロボット支援下結腸右半切除

松本 芳子, 塩川 桂一, 竹下 一生, 下河邉 久陽, 佐原 くるみ, 棟近 太郎, 長野 秀紀, 永田 健, 高橋 宏幸, 吉松 軍平, 長谷川 傑 (福岡大学消化器外科)
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背景:結腸手術の基本は腸間膜のpackage切除(CME)と郭清範囲の適切な設定(CVL)であるが、多関節機能やmotion scaleにより安定した術野の中で精緻な手術が可能なロボット手術は、結腸癌手術の精度を向上させた。
方法:da Vinci Xiを使用。ポート配置の基本は臍小切開+逆L字。小腸先行切離の内側アプローチ。助手の鉗子にて大きな展開を行い、4番アームを郭清リンパ組織の牽引や間膜のプッシュアップなど細かい展開に利用している。コストを考慮し、助手は1名で術者は基本的にフェネストとシザーズのみを使用している。意識している解剖構造は以下の3点。①SMV/SMA神経叢の周囲の膜様構造の周囲の剥離可能層、いわゆる”outermost layer”を意識した3群リンパ節郭清。②十二指腸周囲のFredet膜をtraceした十二指腸の確実な確認とpackageとしての間膜切除。③横行結腸間膜と背側胃間膜の間の剥離層を利用して膵損傷を防ぎながら確実な中結腸血管周囲の郭清。
結果:2022年4月から2025年2月までに行ったロボット支援下右側結腸癌手術74例について検討した。手術時間324分(260-377)、出血量5g(0-24)、Grade3a以上の合併症は1例(1.3%)肺塞栓にて死亡した。出血、膵関連合併症など認めず。リンパ節郭清個数23(18-29)。
結語:発表では各々のシーンでの操作の工夫についてビデオで紹介したい。ロボット手術にてより明瞭となった微細解剖に着目することで、安全性を担保しつつ精緻で精密な手術が可能となったと考えられる。