講演情報
[R24-3]ロボット結腸体腔内吻合において吻合手技が術後経過に与える影響の検討
武居 晋, 堀田 千恵子, 安藤 陽平, 真鍋 達也, 能城 浩和 (佐賀大学医学部一般・消化器外科)
【はじめに】結腸癌手術における体腔内吻合は残便による腹腔内汚染や腫瘍細胞の散布による腹腔内播種再発の懸念があるものの、小さな開腹創で最小限の腸管授動での吻合が可能になることや出血量の減少等の利点がある。【方法】当科では2022年6月のロボット支援結腸癌手術の導入と同時に全症例で体腔内吻合を導入した。全例にmechanical +chemical preparationを行ない、機能的端々吻合を基本とした。2022年6月から2024年10月までに当科で結腸癌に対し体腔内吻合を行った57症例において術後1日目の白血球の増加数(ΔWBC)と術後3日目のCRPの上昇(ΔCRP)に影響を与える手術因子について検討を行った。【結果】手術時間、出血量、BMI、吻合時間とΔWBC、ΔCRPの相関を検討したところ、手術時間、出血量、BMIはいずれも有意な相関はなかったが、吻合時間(ΔWBC:相関係数 0.38, p=0.0039、ΔCRP:相関係数 0.51, p<0,0001)は有意に相関していた。 吻合手技が比較的容易で定型化しやすい右側結腸切除に限定して解析を行っても手術時間、出血量、BMIは全症例での検討と同様に有意な相関はみられなかった。一方、吻合時間はΔWBCとは有意な相関はみられなかったものの、ΔCRPとは有意に相関していた(相関係数:0.37, p=0.0241)。重回帰分析でも吻合時間のみが有意に関連(p<0.0011)していた。【考察】今回の検討では手術時間、出血量、BMI、吻合時間のうち吻合時間のみが重回帰分析でも術後の白血球数の増加、CRPの上昇と相関があり、吻合時間を短縮することは手術時間の短縮のみならず、術後の炎症の低減に寄与する可能性が示唆された。