講演情報

[R25-3]hinotori™とDVSS®における短期成績の比較検討とhinotori™の手術教育における有用性

田中 宏幸, 山本 大輔, 石林 健一, 上野 雄平, 菅野 圭, 久保 陽香, 齊藤 浩志, 道傳 研太, 﨑村 祐介, 林 憲吾, 林 沙貴, 松井 亮太, 齋藤 裕人, 辻 敏克, 森山 秀樹, 木下 淳, 稲木 紀幸 (金沢大学附属病院消化管外科)
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【背景】
当院では、da Vinci Surgical System(以下、DVSS®)によるロボット支援結腸、直腸切除術を継続して行っている。2024年1月より、hinotori™サージカルロボットシステム(以下、hSRS)を導入してきた。DVSSとhSRSとの短期成績の比較検討および、hSRSを利用した手術教育の可能性について報告する。
【方法】
2024年1月30日から現在までに実施したhSRSによる17例(結腸切除術11例、直腸切除・切断術6例)の症例を、直近のDVSS®による30例(結腸切除術12例、直腸切除・切断術18例)の症例と後向きに比較検討した。主な検討項目は、①ロールインからセットアップ完了までの時間、②手術時間、③出血量、④初めての排ガス・排便までの日数、⑤術後在院日数とした。
【結果】
①hSRS群:DVSS®群=11分:7分(p < 0.001)、②hSRS群:DVSS®群=213分:305分 (p=0.008)、③hSRS群:DVSS®群=5ml:5ml (p=0.160)、④hSRS群:DVSS®群=2日:2日 (p=0.898)、⑤hSRS群:DVSS®群=9日:11.5日 (p=0.043)となった。②手術時間、⑤術後在院日数に関しては結腸切除群と直腸切除・切断群においても比較したところ直腸切除・切断群ではいずれも有意差を認めず、結腸切除群ではhSRSが有意に手術時間において短かった。在院日数に関しては結腸切除群においても差を認めなかった。
【考察】
hSRSはドッキングフリーデザインを採用しているため、助手が術野での手術に参加しやすい一方で、ピボット操作のためDVSS®に比べてセットアップに時間を要する結果となった。しかし、症例数の増加に伴い時間短縮が見られたことから、今後手術時間のさらなる短縮が期待できる。また、hSRSでは助手がエネルギーデバイスを用いることが多く、助手の積極的な手術参加が可能であるため、教育的な観点からも有用と考えられる。手術時間および術後の在院日数がDVSS®と異なる原因として、DVSS®がより複雑な症例で多く行われていたと考えられた。
【結語】
hSRSはDVSSと比較し良好な成績が得られている。また、手術教育においても有用性が高く、今後は症例の特性や外科医のニーズに応じた手術ロボットシステムの選択も必要になると考えられる。