講演情報

[R26-2]AI活用による大腸診療の臨床・教育革新と次世代技術融合の展望

柳 舜仁1,2, 今泉 佑太1, 中嶋 俊介1, 川窪 陽向1, 鈴木 大貴1, 伊藤 隆介1, 衛藤 謙2 (1.川口市立医療センター消化器外科, 2.東京慈恵会医科大学外科学外科学講座)
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【はじめに】
近年、AI技術の進歩に伴い、大腸診療における診断、治療、予後予測の各分野で応用が急速に拡大している。本セッションでは、①AI技術を使って術前CT・MRIからの3D画像構築を支援するVincentと、Mixed Reality技術を融合する事で症例固有の解剖を3Dホログラムで閲覧しながら執刀する手術支援、②AIによるリアルタイム解剖可視化と近赤外光を用いた蛍光尿管ナビゲーションとを組み合わせた新たな手術支援の可能性について紹介する。③あわせて、モニター上で解剖を強調表示する機能(AIN)を有するEurekaを用いた神経認識補助効果の検討結果を報告する。
【方法】
2023年7月~2024年2月に施行した左側大腸手術51例(延べ修練医101名)を対象とした。指導医が各神経を認識した時点で、修練医の認識不能率およびEureka閲覧(腹腔鏡モニターと並列配置)による認識補助率を算出した。
【結果】修練医の認識不能率/認識補助率は, S状結腸内側アプローチ時の右下腹神経; 44/101例(43.6%)および19/44例(43.2%), 直腸背側剥離時の左下腹神経; 27/101例(26. 7%)および13/27(48.1%), 右腰内臓神経; 32/101(31.7%)および29/32(90.6%), 左腰内臓神経; 44/101(43.6%)および39/44(88.6%);直腸背側剥離時の骨盤内臓神経;29/45(64.4%)および6/29(20.7%)

【結論】
AINは修練医の神経解剖認識向上に寄与し、若手外科医の術中教育に資する有用なツールであることが示唆された。近い将来、AIと、近赤外光蛍光ガイドナビゲーション・Mixed Reality技術などの他先端技術の融合による高度な術中支援が、低侵襲手術の安全性と治療成績を飛躍的に向上させ、大腸診療のパラダイムシフトをもたらす可能性がある。