講演情報
[R26-3]ロボット支援手術の現状と展望ー地域医療を支える関連施設へのアンケート調査結果ー
有田 智洋, 清水 浩紀, 名西 健二, 木内 純, 倉島 研人, 井上 博之, 高畠 和也, 西別府 敬士, 久保 秀正, 今村 泰輔, 小菅 敏幸, 山本 有祐, 小西 博貴, 森村 玲, 藤原 斉, 塩﨑 敦 (京都府立医科大学消化器外科)
【はじめに】2018年にロボット支援直腸癌手術が保険収載されて以来、ロボット支援手術は全国的に急速に普及した。本学会を含む全国学会の上級演題のテーマはロボット支援手術が多くを占める。確かにロボット支援手術は特に狭骨盤の直腸癌手術において絶大な威力を発揮する。しかしながら地域医療を死守する役割を持つ我々の府立大学教室では、ロボットの教育だけで地域医療をカバーできる大腸外科医を育成することはできない。【方法】関連33病院へアンケート調査を行い、2022-2023年度の2年間の大腸癌症例数とアプローチ法選択の基準について情報を収集した。また、内視鏡外科学会の技術認定制度との関連についても調査した。【結果】全施設から回答を得た。ロボット導入施設は12施設(36.4%)だった。ロボット導入施設における導入後月数は平均34ヶ月、術者数は平均3人、ロボット・腹腔鏡手術・開腹手術の症例数はそれぞれ2年間で800(41.1%)、1131(58.1%)、181(9.3%)例だった。アプローチ法の選択は可能な限りロボットが9施設(75%)、直腸を優先が3施設(25%)だった。一方ロボット未導入施設における腹腔鏡手術、開腹手術の症例数はそれぞれ1357(87.0%)・206(13.0%)例だった。可能な限り腹腔鏡を行う施設は16施設(76%)、症例に応じて開腹が5施設(24%)だった。JSES技術認定取得医はロボット導入施設に37人(77%)、非導入施設に11人(23%)で、導入施設に多く在籍していたが、導入施設の75.0%、非導入施設の52.4%にJSES技術認定取得を目指す外科医が在籍していた。【結語】ロボット支援直腸癌手術と腹腔鏡手術のビデオを比較供覧し、その利点について述べる。ロボットはある程度普及しているもののロボット手術の占める割合は41.1%と高くなく、まだまだ腹腔鏡技術が必要とされている現状が明らかとなった。robot導入のペースは頭打ちで、今後新規導入する予定はほとんど見られなかった。また、ロボット保有施設に技術認定が多く配置されていたが、ロボット保有の有無にかかわらず、技術認定取得を目指す外科医が一定数いることから、教育的観点からも腹腔鏡技術のニーズが高いことが明らかとなった。