講演情報

[R26-4]若手にも女性外科医にも利益をもたらすロボット支援大腸切除術

長谷川 芙美, 布施 匡啓, 佐藤 拓, 円城寺 恩 (JAとりで総合医療センター外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
消化器外科学会の入会者は減少傾向である一方で、泌尿器科学会は、2024年に過去最高の専攻医を迎えた。泌尿器科ではロボット支援手術ができ、緊急が少なく、自身のQOLも担保されるとの声を多く聞く。しかし、消化器外科領域では、まだロボット支援手術は若手の手術の機会を奪うと言われている。ただ、ロボット支援手術は、若手にも女性外科医にも利点が多くあると考える。その理由として、ロボット支援手術は①習得が早いこと、②誰でも同様に手術ができることなどがあげられる。①について、外科医は一人前になるのに時間がかかると言われ、敬遠されることがあるので、習得時間が短くなることは若手に魅力的だ。また、育児中で勤務時間制限のある女性にも利益となる。②について、力がいらず、手や体の大きさによらず手術ができるため、誰でも同様に手術ができ、指導も修練もやりやすくなった。そこで、当院では若手にも積極的にロボット手術を修練してもらっている。また、ロボット手術が女性外科医に本当に利点があるか、外科系女性医師23名にアンケート調査を行った。開腹や腹腔鏡手術では男性医師と差があると19名(83%)が感じていたのに対して、ロボット支援手術では、差を感じないと17名が答えた。また、ロボット支援手術は開腹や腹腔鏡手術と比較して、女性にとってやりやすい手術だと思うと15名(68%)が答え、女性に限定せず男女ともにやりやすい手術であるといった意見も多かった。ロボット支援手術は多様性に配慮した手術方法であり、女性にも、若手にも利益をもたらすと言える。ただ、高額な費用や導入時の手術時間の延長などの課題もある。いずれは新規ロボットの参入や手術の定型化が進み、それらも解決していくことが予想される。コスト面における当院での工夫だが、ダブルコンソールがなくても、指導しやすいように、臨床工学士お手製で、コンソール脇に小モニターが付属されている。隣に指導医が座り、指導できるようになっており、術者には安心感があり、交代もすぐにでき、ダブルコンソールに近いが、費用はかからない。ロボット支援大腸切除術が若手や女性にもたらす利益について、ビデオを交えながら提示する。