講演情報
[R26-5]修練段階の術者が行うロボット支援下直腸手術の有用性の検討
横山 雄一郎, 野澤 宏彰, 佐々木 和人, 室野 浩司, 江本 成伸, 永井 雄三, 原田 有三, 品川 貴秀, 舘川 裕一, 岡田 聡, 白鳥 広志, 石原 聡一郎 (東京大学腫瘍外科)
【背景】修練段階の術者が行う直腸癌手術におけるロボット支援下手術の腹腔鏡手術に対する優越性は明らかではない。修練段階の術者が行う直腸癌に対するロボット支援下手術と腹腔鏡手術を比較することで、real worldでのロボット支援下手術の有用性を明らかにすることは、コスト面で問題のあるロボット手術の普及を考える上で重要である。
【方法】当科で2014年から2023年までに直腸癌に対して内視鏡技術認定医でない術者が行った腹腔鏡下低位前方切除術88例(lap-Ra:50例、lap-Rb:38例)とプロクターでない術者が行ったロボット支援下低位前方切除術102例(robot-Ra:42例、robot-Rb:60例)を対象とした。性別・年齢・BMI・肛門縁からの距離・腫瘍径・pT4/CRT/側方郭清/covering stomaの有無でPropensity score matching(PSM)を行い、lap-Ra:24例、robot-Ra:24例、lap-Rb:29例、robot-Rb:29例を抽出した。臨床病理学的因子、短期治療成績について比較した。
【結果】Lap-Ra群とrobot-Ra群を比較すると、手術短期成績では、出血量(15mL vs 44mL:p=0.29)、術後在院日数(14日 vs 14日:p=0.67)、CD3以上の合併症発生率(0% vs 4.2%:p=1.00)に差を認めなかったが、robot-Ra群で有意に手術時間が長かった(251分 vs 346分:p<0.01)。切除断端は全例で陰性だった。Lap-Rb群とrobot-Rb群を比較すると、手術時間はrobot群で長い傾向にあったが(336分 vs 384分:p = 0.09)有意差は認めなかった。切除断端は全例で陰性だったが、DM1cm未満の割合(14% vs 0%:p=0.11)はrobot群で少なく、骨盤操作における優位性を示唆していると考えられた。術後在院日数(19日 vs 16日:p=0.16)、出血量(74mL vs 94mL:p=0.61)、CD3以上の合併症発生率(3.4% vs 3.4%:p=1.00)には差を認めなかった。
【結語】少数例の検討ではあるが、Rb直腸癌症例では、修練段階の術者であってもロボット支援下手術は腹腔鏡手術と比較して有用である可能性が示唆された一方で、Ra直腸癌症例においては、コスト面を考慮すると適応を慎重に判断する必要があると考えられた。
【方法】当科で2014年から2023年までに直腸癌に対して内視鏡技術認定医でない術者が行った腹腔鏡下低位前方切除術88例(lap-Ra:50例、lap-Rb:38例)とプロクターでない術者が行ったロボット支援下低位前方切除術102例(robot-Ra:42例、robot-Rb:60例)を対象とした。性別・年齢・BMI・肛門縁からの距離・腫瘍径・pT4/CRT/側方郭清/covering stomaの有無でPropensity score matching(PSM)を行い、lap-Ra:24例、robot-Ra:24例、lap-Rb:29例、robot-Rb:29例を抽出した。臨床病理学的因子、短期治療成績について比較した。
【結果】Lap-Ra群とrobot-Ra群を比較すると、手術短期成績では、出血量(15mL vs 44mL:p=0.29)、術後在院日数(14日 vs 14日:p=0.67)、CD3以上の合併症発生率(0% vs 4.2%:p=1.00)に差を認めなかったが、robot-Ra群で有意に手術時間が長かった(251分 vs 346分:p<0.01)。切除断端は全例で陰性だった。Lap-Rb群とrobot-Rb群を比較すると、手術時間はrobot群で長い傾向にあったが(336分 vs 384分:p = 0.09)有意差は認めなかった。切除断端は全例で陰性だったが、DM1cm未満の割合(14% vs 0%:p=0.11)はrobot群で少なく、骨盤操作における優位性を示唆していると考えられた。術後在院日数(19日 vs 16日:p=0.16)、出血量(74mL vs 94mL:p=0.61)、CD3以上の合併症発生率(3.4% vs 3.4%:p=1.00)には差を認めなかった。
【結語】少数例の検討ではあるが、Rb直腸癌症例では、修練段階の術者であってもロボット支援下手術は腹腔鏡手術と比較して有用である可能性が示唆された一方で、Ra直腸癌症例においては、コスト面を考慮すると適応を慎重に判断する必要があると考えられた。