講演情報
[R27-3]直腸手術後の直腸膣瘻に対するエストリオール膣錠の有用性
田村 昂1, 小山 文一1,2, 岩佐 陽介1,2, 高木 忠隆1, 藤本 浩輔1, 江尻 剛気1, 吉川 千尋1, 庄 雅之1 (1.奈良県立医科大学消化器.総合外科, 2.奈良県立医科大学附属病院中央内視鏡部)
【目的】直腸膣瘻は女性の直腸手術後の合併症として起こりうる病態であり,膣からの漏便や膣炎の発症によるQOLの低下が問題となる.ストーマ造設により症状は緩和できるが,その一方でストーマ造設のみでは瘻孔閉鎖に至らない例が多い.治療としては瘻孔切除術や薄筋弁充填術などの手術加療が第一選択である.その一方で,保存的加療で治癒に至った報告例も散見する.当科ではエストリオール膣錠で治癒に至った症例を経験している.今回,直腸手術に起因にする直腸膣瘻に対するエストリオール膣錠の有用性について自験例の検討を行った.
【方法】2007年1月から2022年12月に当科で治療を行った直腸膣瘻23例のうち,大腸疾患あるいは直腸手術に起因にする直腸膣瘻は7例であった.このうち,エストリオール膣錠を使用した5例を対象とし,治療成績を後方視的に検討した.
【成績】年齢の中央値は58(47-66)歳であった.4例がすでに閉経していた.原疾患は直腸癌/NET/GISTが3/1/1例,施行術式はLAR/SLAR/ISR/局所切除が2/1/1/1例であった..アプローチ法は開腹/腹腔鏡/ロボット/経肛門が2/1/1/1例であった.膣瘻の発症時期は術後30(5-3336)日であった.2例はストーマ造設とエストリオール膣錠で短期間に治癒した.1例はストーマ造設と瘻孔切除術を行うも治癒せず,エストリオール膣錠投与で瘻孔閉鎖した.1例は3回の薄筋弁充填術を行うも,治癒せず,エストリール膣錠投与で瘻孔閉鎖した.1例は手術加療で一旦治癒したが,再発した症例であり,ストーマ造設とエストリオール膣錠で治癒した. 1例,ストーマ閉鎖後に再発したが,エストリオール膣錠投与で治癒した.最終的エストリオール膣錠投与による膣瘻閉鎖率は100%,再発率は20%,最終的なストーマ閉鎖率は80%であった.
【結論】直腸手術に起因する直腸膣瘻に対し,エストリオール膣錠治療は,ストーマ併用是非の課題は残るものの有望な治療法となりうる.
【方法】2007年1月から2022年12月に当科で治療を行った直腸膣瘻23例のうち,大腸疾患あるいは直腸手術に起因にする直腸膣瘻は7例であった.このうち,エストリオール膣錠を使用した5例を対象とし,治療成績を後方視的に検討した.
【成績】年齢の中央値は58(47-66)歳であった.4例がすでに閉経していた.原疾患は直腸癌/NET/GISTが3/1/1例,施行術式はLAR/SLAR/ISR/局所切除が2/1/1/1例であった..アプローチ法は開腹/腹腔鏡/ロボット/経肛門が2/1/1/1例であった.膣瘻の発症時期は術後30(5-3336)日であった.2例はストーマ造設とエストリオール膣錠で短期間に治癒した.1例はストーマ造設と瘻孔切除術を行うも治癒せず,エストリオール膣錠投与で瘻孔閉鎖した.1例は3回の薄筋弁充填術を行うも,治癒せず,エストリール膣錠投与で瘻孔閉鎖した.1例は手術加療で一旦治癒したが,再発した症例であり,ストーマ造設とエストリオール膣錠で治癒した. 1例,ストーマ閉鎖後に再発したが,エストリオール膣錠投与で治癒した.最終的エストリオール膣錠投与による膣瘻閉鎖率は100%,再発率は20%,最終的なストーマ閉鎖率は80%であった.
【結論】直腸手術に起因する直腸膣瘻に対し,エストリオール膣錠治療は,ストーマ併用是非の課題は残るものの有望な治療法となりうる.