講演情報

[R28-7]大腸癌手術症例における手術部位感染予防ケアバンドルの効果と課題

毛利 靖彦1, 山本 晃1, 尾嶋 英紀1, 髙木 里英子1, 山本 真優1, 渡辺 修洋1, 森本 雄貴1, 横江 毅1, 内田 恵一2 (1.三重県立総合医療センター消化器・一般外科, 2.三重県立総合医療センター小児外科)
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【目的】大腸癌手術は、消化器外科手術の中でも手術部位感染(SSI)発生は高率である。また、SSIガイドライン等で有効性が認められている感染対策を、単独で実施するのではなく複数の対策を同時に実施するケアバンドルアプローチにより、医療関連感染を低減させることができると考えられている。当院では手術部位感染(SSI)を予防するために様々な対策を実施してきた。今回、消化器外科周術期SSI予防ガイドラインの推奨事項を参考に予防対策を導入してきた。新規対策導入に伴うSSI発生率について検討した。
【方法】
2012年1月から2022年12月までに当院消化器・一般外科で大腸癌手術を受けた患者を対象とした。2018年より、大腸癌手術における術前経口抗菌薬投与、創縁保護器具(double ring wound protector)、二重手袋使用および交換のタイミングの統一、2020年より術前歯科受診、閉創時器械交換を導入してきた。これら5つの事項をSSI予防ケアバンドルとし、その効果について検証する。2012年1月~2017年12月までをA期、2018年1月~2019年12月までをB期、2020年1月より2023年12月までをC期とした。
【結果】A期のSSI発生率は、13.3%、ケアバンドル初期導入後のB期のSSI発生率は13.2%、さらに、ケアバンドル導入後のC期のSSI発生率は8.6%であった。SSI発生に関して、SSI発生危険因子として、年齢、術前抗菌薬による腸管前処置非施行、手術時間、出血量、術中輸血、開腹手術が抽出され、多変量解析にて、術前抗菌薬による腸管前処置非施行、出血量、術中輸血が独立したSSI危険因子であった。また、C期のケアバンドルの遵守率は84%であった。
【結語】大腸癌手術におけるSSIを低減させるために、ケアバンドルアプローチは有効であるが、PDCAサイクルを利用してさらなる改善が必要と考えられる。