講演情報
[R3-1]出血性痔核治療1週間後に多発性肝膿瘍を来たした1例
高嶋 吉浩, 斎藤 健一郎, 宗本 義則 (福井県済生会病院外科)
はじめに】
出血性内痔核に対して止血剤局注療法(5% フェノール・アルモンド油)を行うも、その1週間後に多発性肝膿瘍を来した症例を経験した。稀なケースと思われるので報告する。
【症例】
74歳・男性。ジフルコルトロン吉草酸エステル・リドカイン軟膏を約半年塗布していたが痔核出血持続するとのことで当科紹介となる。直腸診ではIII度の内痔核を触知し、SFにて0時方向に出血性内外痔核認めフェノール・アルモンド油1.0mlx2箇所局注を行った。しかし、局注7日目から発熱・ふらつき出現し8日目に42度の発熱あり、入院としCTにて多発性肝膿瘍と診断し抗生剤治療開始した。入院15日目の腹部エコーでは肝膿瘍縮小を認め、CRPもpeak22から0.8まで改善を認めたため入院17日目に退院とした。
【考察】
フェノールは消毒作用を持つ薬剤で強い腐食作用があり神経麻痺の作用を有する。アルモンド油も化粧品の添加剤として広く使用されており安全性も高いと評価されている。したがって、今回止血剤自体が肝膿瘍を来したとは考えにくい。文献上は痔疾患術後の肝膿瘍合併例は報告されており、肛門部手術処置時に細菌侵入を招いてしまう可能性を否定できないと思われた。
【結語】
稀とは考えられるが肛門手術処置後の注意喚起の意義あり思われたため報告する。
出血性内痔核に対して止血剤局注療法(5% フェノール・アルモンド油)を行うも、その1週間後に多発性肝膿瘍を来した症例を経験した。稀なケースと思われるので報告する。
【症例】
74歳・男性。ジフルコルトロン吉草酸エステル・リドカイン軟膏を約半年塗布していたが痔核出血持続するとのことで当科紹介となる。直腸診ではIII度の内痔核を触知し、SFにて0時方向に出血性内外痔核認めフェノール・アルモンド油1.0mlx2箇所局注を行った。しかし、局注7日目から発熱・ふらつき出現し8日目に42度の発熱あり、入院としCTにて多発性肝膿瘍と診断し抗生剤治療開始した。入院15日目の腹部エコーでは肝膿瘍縮小を認め、CRPもpeak22から0.8まで改善を認めたため入院17日目に退院とした。
【考察】
フェノールは消毒作用を持つ薬剤で強い腐食作用があり神経麻痺の作用を有する。アルモンド油も化粧品の添加剤として広く使用されており安全性も高いと評価されている。したがって、今回止血剤自体が肝膿瘍を来したとは考えにくい。文献上は痔疾患術後の肝膿瘍合併例は報告されており、肛門部手術処置時に細菌侵入を招いてしまう可能性を否定できないと思われた。
【結語】
稀とは考えられるが肛門手術処置後の注意喚起の意義あり思われたため報告する。